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 トヨタ自動車が全面改良した新型の小型ハイブリッド車(HEV)「アクア」(図1)。最大の特徴は、「バイポーラ型」のニッケル水素電池を採用した点だ。駆動用の車載電池として採用するのは新型アクアが「世界初」(同社)である。リチウムイオン電池パックと比較すると、体積当たりの容量で25%増を実現した。豊田自動織機が量産する。

図1 トヨタ自動車の新型「アクア」
図1 トヨタ自動車の新型「アクア」
約10年ぶりに全面改良した2代目で、燃費を先代比で20%改善した。価格は198万円(消費税込み)から。(出所:トヨタ自動車)
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 従来型のニッケル水素電池は、正極と負極の活物質を別々の集電体に塗り、セパレーターを挟んで電解液を注入した1つのセルとして独立している。複数のセルを組み合わせてモジュールにする際は、集電体の横から出したダブをつないで電流を流す。

 一方、トヨタが今回採用したバイポーラ型は、集電体の片面に正極を、もう一方の面に負極を塗って「バイポーラ(Bipolar:双極)電極」とし、これを複数枚重ねる構造の電池モジュールである(図2)。従来型のニッケル水素電池に比べて集電体の枚数や電池セルの外装材の使用量など、部品点数を減らせるため小型化に向く。さらに、通電面積が広く大電流を流しやすい。

図2 ニッケル水素電池の構造の違い
図2 ニッケル水素電池の構造の違い
従来型とバイポーラ型の大きな違いは、集電体の使い方である。従来型は集電体の片面だけに正極あるいは負極の活物質を塗る。一方のバイポーラ型は、集電体の両面を使う。これによって積層構造が可能になり、セルごとに外装ケースを用意する必要がなくなる。(出所:トヨタ自動車)
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セル数は120個から168個に増加

 トヨタによると、従来型のニッケル水素電池を搭載していた先代アクアに比べて、電池出力を約2倍に向上できたという。セル当たりの出力を約1.5倍に、モジュールの小型化により同じスペース内に1.4倍のセルを搭載できるようになったという2つの要因で達成した。

 先代アクアのニッケル水素電池パックの容量は0.936kWhで、120個の電池セルで構成する。6個の電池セルで1つのモジュールとし、これを20モジュール内蔵する。電流容量は6.5Ah。電池モジュールの電圧は144V。

 新型のバイポーラ型電池パックの容量は1.0kWhで、168個の電池セルで構成する(図3)。24個の電池セルで1つのモジュールとし、これを7モジュール内蔵する。電流容量は5.0Ah。電池モジュールの電圧は101.6Vで、パワーコントロールユニット(PCU)で580Vに昇圧してモーターや発電機などを駆動する。

図3 アクアに搭載するバイポーラ型ニッケル水素電池
図3 アクアに搭載するバイポーラ型ニッケル水素電池
電池パック(スタック)は大判のモジュールを7枚重ねる構造とした。(出所:トヨタ自動車)
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廉価グレード「B」はリチウム電池

 新型アクアには、バイポーラ型のニッケル水素電池以外に、リチウムイオン電池を搭載するグレードが存在する。リチウムイオン電池を採用したのは意外にも、最も廉価な「B」グレードだ。