国土交通省と自動車事故対策機構(NASVA)は2021年5月に、日本の自動車アセスメント(JNCAP)の最新試験結果(20年度)を公表した。このうち夜間歩行者を対象にした自動ブレーキ試験では、トヨタ自動車と日産自動車、ホンダ、SUBARU(スバル)の4社・5車種が最高点(満点)を獲得した。今回のJNCAP試験の結果から、夜間歩行者対応の自動ブレーキに関する4つのポイントが見えてきた。
夜間歩行者を対象にしたJNCAPの自動ブレーキ試験では、直線道路を試験車両が走行し、歩行者に見立てたダミー人形が対向車線側から道路を横切る。街灯が「ある場合」と「ない場合」のシナリオがある。
これらのシナリオにはいずれも、対向車線に停止した車両が「ある場合」と「ない場合」の2つの条件を設ける。停止車両がある場合は、その車両の陰からダミー人形が突然飛び出してくるため、自動ブレーキによる衝突回避はより難しくなる。
こうした試験の結果から見えてきた第1のポイントは、ホンダの小型車「フィット」とスバルの中型ステーションワゴン「レヴォーグ」が主要センサーであるカメラを刷新し、自動ブレーキの夜間性能で巻き返したことである。両車ともに、最新試験では最高点を獲得した(図1)。
第2のポイントは、トヨタの上級SUV(多目的スポーツ車)「ハリアー」が最高点を獲得して強さを示したこと。第3のポイントは、日産の「デイズ」が軽自動車で初めて最高点を獲得したことだ。そして第4のポイントは、各社の自動ブレーキシステムの夜間性能差が縮まってきたことである。以下、それぞれのポイントを詳しく見ていく(表)。