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 GMOあおぞらネット銀行が、いわゆる「エンベデッド(組み込み)金融」戦略の強化を進めている。預金や為替といった銀行機能を「部品」としてグループ外の事業会社へ提供する戦略だ。

 同社は2021年8月末にも銀行機能のソフトウエア部品を売買するマーケットプレースを開始。様々な企業や開発者に開放し、部品の流通や品ぞろえの充実を図る。

 同社の狙いは、金融機能を必要に応じて取り込みデジタルトランスフォーメーション(DX)を目指す企業のニーズに応えることにある。新興のみんなの銀行や新生銀行など同戦略強化を急ぐ銀行が相次ぐ中、GMOあおぞらネット銀が打ち出す「シブヤ系」銀行ならではの事業戦略とは。

銀行機能を部品として流通

 開設するマーケットプレースの名称は「ichibar(イチバー)」。取引するのは銀行の機能をインターネット経由で呼び出すための銀行API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)や、同機能を顧客企業のネットサービスやスマートフォンアプリに組み込むためのBaaS(バンキング・アズ・ア・サービス)である。

 同社にとってAPIやBaaSは、銀行機能を形作る部品という位置付けだ。同社の既存顧客企業だけでなく広くマーケットプレースを開放して自由に出品、販売、購入できるようにする。FinTech関連のサービスを開発するベンチャー企業や他の金融機関、個人や学生の開発者などの利用を想定する。そうしたユーザーがオンラインや対面で集う交流会も予定する。銀行機能のオープンなマーケットプレースは国内初という。

「ichibar」の概要
「ichibar」の概要
(出所:GMOあおぞらネット銀行、以下同)
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 銀行機能部品のマーケットプレース開設は、GMOあおぞらネット銀が掲げる組み込み金融戦略強化の一環だ。同社は2019年に銀行APIの提供を開始。契約企業数は2021年6月時点で137社と、この1年でおよそ3倍に増えた。「週に1社のペースで契約企業数を増やしており、トップランナーを自負している」(金子岳人会長)。

 さらに同社は2020年4月、自社製の銀行APIを開発者が試験利用できるネットサービス「sunabar(スナバー)」の提供を開始。開発者は同社が用意したサンドボックス型の開発・実行環境の上で、APIを自由に試せる。こうした組み込み金融戦略を、マーケットプレース開設などの施策でさらに加速させる。

 「組み込み金融のエコシステムをつくる」。金子会長はマーケットプレース開設の狙いをこう語る。「銀行のサービスをより使いやすく、つなげやすくするには、1社では難しい。既存のsunabarと合わせて銀行機能の部品を様々な企業とともにつくったり試したりして循環型のエコシステムを形成し、組み込み金融サービスを広くあまねく提供する」(金子会長)。

銀行機能のソフトウエア部品の流通戦略
銀行機能のソフトウエア部品の流通戦略
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