全1579文字
PR

 組合員総数2996万人、会員生協の総事業高約3.8兆円(2020年度推計)。全国の生協や生協連合会が加入する日本生活協同組合連合会(日本生協連)が、中核事業の生協宅配でDX(デジタルトランスフォーメーション)に挑んでいる。人工知能(AI)による、配達コース作成の自動化だ。現場の要望を取り入れながらAIを改善し、配達の効率化と職員の負担軽減を目指す。

 「効果がしっかり出た。まだ調整は必要だが、広げていきたい」。日本生協連の茂木伸久事業企画・デジタル推進本部本部長スタッフは2021年5月から6月にかけて取り組んだ、AIによる配達コース作成の実験結果への手応えをこう語る。

 コープあいち三好センター(愛知県みよし市)の一部コースを対象とした初めての実証実験では、従来22あった配達コースが19コースに減り、1週間の総配達時間を実験前に比べて15%(22時間34分)削減した。総走行距離については同じく9.7%に相当する54キロメートルを減らせたという。

三好センターの実験では配達時間や走行距離の削減効果が確認できた
[画像のクリックで拡大表示]
三好センターの実験では配達時間や走行距離の削減効果が確認できた
(出所:日本生協連)

 この実証実験は対象の配達担当者が6人という規模だった。全国で約2万5000台のトラックとほぼ同数の配達担当者を抱える生協が取り組みを全国に広げれば、配達の工数や燃料費などの削減効果は大きくなる。

 生協が活用を進めるのは、スタートアップ企業のオプティマインド(名古屋市)が提供するAIサービス「Loogia(ルージア)」だ。Loogiaはラストワンマイル配送に特化して最適なコースを提示する。生協の配達コースは組合員の入れ替わりを勘案しながらつくる必要がある。従来は「数カ月に一度、丸1日~2日かけて手作業でつくっていた」(茂木本部長スタッフ)。Loogiaを使えば自動作成できる。

 だが、AIが示す「最適」な配達コースをそのまま使えるわけではない。実際の配達作業に無理がないコースにするには、地形や道路の構造といった現場の知見を反映する必要がある。