全1987文字
PR

 トヨタ自動車の販売店による車検不正問題が明るみに出た。不正に手を染めたのは、トヨタモビリティ東京(東京・港)の販売店「レクサス高輪」。すなわち、トヨタ自動車の100%子会社である直営販売会社だ。

 トヨタ自動車本体が起こした不正ではないが、2021年7月20日にオンライン会見でトヨタ自動車国内販売事業本部本部長の佐藤康彦氏も述べた通り、この問題は「メーカー(トヨタ自動車)に(も)責任がある」(同氏)と言える。なぜなら、同社が掲げる「お客様第一」の考えに反する行為だからだ。

レクサス高輪の車検不正の謝罪会見
[画像のクリックで拡大表示]
レクサス高輪の車検不正の謝罪会見
オンラインで開かれた。左がトヨタ国内販売事業本部本部長の佐藤康彦氏、中央と右の拡大がトヨタモビリティ東京代表取締役社長の関島誠一氏、右が同社常務執行役員の板垣俊美氏。(写真:日経クロステック)

 これまでトヨタ自動車は、文字通り顧客のことを最優先に考え、中でも「安心・安全」を重視したクルマづくりに努めてきたはずだ。ところが、トヨタモビリティ東京は、アフターサービスを含めて安心・安全なトヨタ車を顧客に提供する肝心な部分で、検査不正を起こした。しかもその中身は、日本の製造業で2016年以降続く、品質データ偽装や検査不正と変わらない。[1]改ざんと[2]検査の省略だ。

 [1]の改ざんでは、(1)ヘッドランプの明るさと(2)前輪の角度、(3)駐車ブレーキの効きの3つの検査項目において、基準を満たす値に書き換えていた。一方、[2]の検査の省略では、(4)排出ガスの成分と(5)速度計の精度(誤差)の2つの検査項目について、検査を実施していなかった。

 不正の原因も、他社と同じだ。まず、検査を行う人員が足りず、設備も不足していた。そうした中で、納期(時間)を優先したのである。

レクサス高輪が行った車検不正の内容
[画像のクリックで拡大表示]
レクサス高輪が行った車検不正の内容
565台で不正が見つかっている。(作成:日経クロステック)

 トヨタ自動車が受けたショックは大きいはずだ。同社が掲げる「もっといいクルマづくり」に負の影響を及ぼしかねないからである。