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 スマートフォン向けGPUコアの老舗(しにせ)メーカーである英Imagination Technologies(イマジネーションテクノロジーズ)。2017年に最大手顧客の米Apple(アップル)から契約中止の予告を受けた際には会社存亡の危機と言われていたが*1、19年12月には新たなGPUコア「IMG A-Series」を発表するまでに復活した*2。20年1月にはAppleとの関係も修復したようで、新たに広範なライセンス契約を結んだ ニュースリリース 。Imaginationの20年の売上高は1億2500万米ドル(約138億円)で、前年比44%増加した ニュースリリース

関連記事 *1 Apple、ImaginationのGPUコア利用を2年以内に終了 *2 アップルショックからカムバック、英イマジネーションが新世代GPUコア

 このAppleの一件は、日本を含めて世界中で話題になった。半導体市場で大きな比重を占めるスマートフォン向けSoC(System on a Chip)に関係していたためだろう。日本の半導体メーカーはスマートフォン向けSoCから撤退しており、Imaginationの日本での事業は、世界全体とは異なる展開になっている。Imaginationの日本における事業について、20年11月に日本法人の代表取締役に就いた内村浩幸氏に聞いた。

 内村氏によれば、Imaginationの日本における事業の主力は自動車関連である。車載GPUコアの世界市場でImaginationのシェアは43%と高く、さまざまな車載SoC/ICに同社のGPUコアが集積されているとする。例えば、ルネサス エレクトロニクスの車載SoC「R-Car」のうち、車載インフォテインメントやコックピット、デジタルクラスター向け製品である。

車載SoC/ICでの採用事例
車載SoC/ICでの採用事例
(出所:Imagination Technologies)
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 21年7月に発表した最新の「R-Car Gen3eシリーズ」*3には、ImaginationのGPUコア「PowerVR Series6XT」*4または「PowerVR Series8XE」*5が集積されている。また、ソシオネクストのグラフィックス・ディスプレー・コントローラーIC「SC1810シリーズ」*6も、PowerVR Series8XEを集積する。日本製の車載SoC/ICだけでなく、例えば、米Texas Instruments(テキサス・インスツルメンツ、TI)の車載インフォテイメントシステム向けSoC「Jacinto 6ファミリー」に「PowerVR Series5XT」が集積されている*7。TIは車載SoC「Jacinto」の将来製品に、Imaginationの最新GPU「IMG B-Series」 ニュースリリース を集積予定である ニュースリリース

関連記事 *3 ルネサス車載SoCのR-Car、第3世代改良版の6製品が一気に登場 *4 ルネサスとルネサス モバイル、ImaginationのPowerVR Series6のマルチユース・ライセンスを取得 *5 コスト重視市場も取る、Imaginationの新GPUは下位品から発進 *6 ソシオ、OpenVX画像認識付きディスプレーコントローラー *7 TI、車載インフォテイメント向けSoCにローエンド品を追加
「IMG B-Series」GPUコアで表示したメーターパネルの例
「IMG B-Series」GPUコアで表示したメーターパネルの例
(出所:Imagination Technologies)
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 TIが採用したIMG B-Seriesに続くGPUとしてImaginationは21年中に「IMG C-Series」を発表予定である。C-Seriesでは、レイトレーシングをサポートする。冒頭で紹介したAppleとの関係修復に当たっては、Imaginationが持つレイトレーシング技術をAppleが渇望したとの報道が一部にあるが、両社とも新しいライセンス契約の内容は一切語らないので、その真偽は定かではない。

GPUコアのロードマップ
GPUコアのロードマップ
(出所:Imagination Technologies)
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レイトレーシングの適用例
レイトレーシングの適用例
(出所:Imagination Technologies)
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