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 フランスの半導体産業調査会社であるYole Développement(ヨール・ディベロップメント)からMEMS(微小電子機械システム)製造企業の2020年の売上高ランキング(図1)が発表された。2020年のランキングについて、同社シニアアナリストのDimitrios Damianos(ディミトリオス・ダミアノス)博士からお聞きしたことに加えて、筆者が気づいたポイントを解説する。

*Yole Développementのプレスリリース:http://www.yole.fr/iso_upload/News/2021/PR_Status_Of_The_MEMS_Industry_MarketUpdate_YOLE_July2021.pdf

2014年からボッシュが首位を維持

 まず、2020年のランキングを見て最初に気づくことは、上位2社の入れ替わりである。図1には2019年の売上高も示してあるが、それを見ると、2019年も首位はドイツRobert Bosch(ロバート・ボッシュ)、2位は米Broadcom(ブロードコム)だった。しかし、2020年に発表された2019年のランキング 参考記事 ではBroadcomが首位であった。また、2018年 参考記事 、2017年 参考記事 のランキングでもBroadcomが首位であった。これについてDamianos氏は、過去の集計においてRFフロントエンドモジュールに使われているFBAR(Film Bulk Acoustic Wave)フィルターとディスクリートのそれとに重複があったと述べている。Broadcomが売上高を減らしたわけではなく、2019年から2020年にも図2に示すように20%と大きな成長を見せている。

 一方、Robert Boschについては、コンシューマー向けセンサーを担当する子会社のBosch Sensortec(ボッシュ・センサーテック)の一部センサーのASP(平均単価)を低く見積もり過ぎていたという。以上のことから、実際にはRobert Boschが2014年以来、ずっと首位を守っていたことになる。2019年から2020年にRobert Boschは7%の成長を示しているが、これは自動車用センサーの落ち込みをコンシューマー向けが補って余りあったということである。これは伊仏合弁STMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス、2020年ランキング4位(以下同様))やTDK(9位)にも当てはまる。

 また、前回までのランキングにはMEMSファウンドリー事業分が含まれていたが、今回のものには含まれていない。2019年に30位にランクインしたピュアプレーMEMSファウンドリーのスウェーデンSilex Microsystems(サイレックス・マイクロシステム、親会社は中国・賽微電子)は、2019年から2020年に10%の高成長を遂げたが、今回のランキングに現れていないのはそのためである。なお、Silex Microsystemsの北京工場(FAB3)は2021年6月に本格量産を開始し、最初の製品は中国・通用微(GMEMS)のMEMSマイクロホンである。賽微電子は北京工場のキャパシティーを数年内に3倍の月産3万枚に拡張する計画であり、今後、Silex MicrosystemsがMEMSファウンドリー首位を確固たるものにしていくと予想される。

図1 2020年MEMS売上高ランキング
図1 2020年MEMS売上高ランキング
(図:Yole Développement)
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