全1622文字
PR

 堀場製作所は、自動車の排ガス測定に有望な革新技術を開発し、同技術を搭載した排ガス測定装置を2021年7月29日に発売した(図1、2)。開発したのは、「IRLAM(アーラム)」と呼ぶ技術。高感度で高速な計測を可能とする上、欧州の次期排ガス規制「Euro 7」で規制対象成分として追加される可能性がある亜酸化窒素(N2O)やアンモニア(NH3)、ホルムアルデヒド(HCHO)、メタン(CH4)などにも対応可能という。

図1 IRLAMの技術を搭載した車載型排ガス測定装置(PEMS)「OBS-ONE-XL」
図1 IRLAMの技術を搭載した車載型排ガス測定装置(PEMS)「OBS-ONE-XL」
(出所:堀場製作所)
[画像のクリックで拡大表示]
図2 IRLAMの技術を使ったガス濃度分析計「XLA-13H」「同11」が搭載されるエンジン排ガス測定装置「MEXA-ONE」
図2 IRLAMの技術を使ったガス濃度分析計「XLA-13H」「同11」が搭載されるエンジン排ガス測定装置「MEXA-ONE」
(出所:堀場製作所)
[画像のクリックで拡大表示]

 IRLAMは、赤外線を用いたガス分析の技術だ。赤外線ガス分析装置では、ガスセルと呼ばれる容器の中に排ガスを封入し、光源からガスセルの中に赤外線を照射し、ガスセルから出てくる赤外線の強度を検出器で捉えて成分ごとの濃度を割り出す。ガスの成分によって吸収しやすい光の波長が異なることを利用した手法である。測定で得られた光の吸収スペクトル(波長ごとの光の吸収量を表す波形データ)とあらかじめ用意しておいた各成分の光の吸収スペクトルを照合して濃度を演算する。

 IRLAMでは、そのガスセルに小型化したヘリオットセル(後述)を、光源にガス分析に特化した独自設計の量子カスケードレーザー(QCL)を使い、濃度演算に人工知能(AI)で使われる「特徴量」の概念を導入した(図3)。それにより、ヘリオットセルを使った従来のガス分析技術と比べて、感度を10倍以上に、応答速度を5倍に高めるとともに、装置の小型化や演算に必要な処理能力の低減、耐環境性能の向上を図った。

図3 IRLAMを使った分析装置の構成
図3 IRLAMを使った分析装置の構成
ガスセルに小型化したヘリオットセル、光源に量子カスケードレーザー(QCL)を使う。(出所:堀場製作所)
[画像のクリックで拡大表示]