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 新型コロナウイルス感染症の拡大で孤独や経済的な不安などが高まっているとされており、メンタルヘルスの維持やケアが重要になっている。米国では薬事承認前のメンタルヘルス向け治療用アプリへの保険適用を、保険会社が検討する「青田買い」の事例も現れた。

 保険適用の検討が進むのは、米Limbix(リンビックス)社が開発する治療用アプリ「Limbix Spark」である。うつ病の症状がある13~21歳といった若者の患者を対象とする。薬事承認の申請前だが、民間の保険会社などと提携して、保険適用に向けた分析や協議をしている。通常は薬事承認を取得した後に保険会社と提携するのが一般的だという。また薬事承認を取得しても保険償還が難航するケースもあるとされる。

うつ病の症状がある青少年の患者を対象とした治療用アプリ
うつ病の症状がある青少年の患者を対象とした治療用アプリ
(出所:米Limbix社)
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 治療用アプリの収益化は開発企業にとって課題の1つである。日本と医療制度の異なる米国では、民間の保険会社による保険償還が重要となる。Limbixは製品の販売前に保険償還の可能性がみえている。それは資金集めにも有利なようだ。Limbixに投資した投資会社のDG Daiwa Ventures プリンシパルの渡辺大和氏は「投資した理由の1つは比較的早期のマネタイズが期待できることだ」と明かす。

 保険会社と早期に提携できた理由について、Limbix CEOのBenjamin Lewis氏は3つの理由を挙げる。(1)新型コロナの拡大で、青少年を対象としたメンタルヘルスのケアサービスの需要が増えていること、(2)「実施した臨床試験の結果が良好だったこと」(Lewis氏)、(3)同社が米国内の小児病院といくつかパートナーシップを確立していることだ。「医療従事者が保険会社との関係性の構築に協力してくれる」とLewis氏は話す。