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 日産自動車が電気自動車(EV)を「走る蓄電池」として活用する体制をつくっている。全国の自治体や企業と連携し、災害時の非常用電源などとしてEVのバッテリーを役立てる。移動手段にとどまらないEVの活用法をアピールし、普及につなげていく。

日産のEV「リーフ」から給電する様子
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日産のEV「リーフ」から給電する様子
(出所:日産自動車)

 EVを通じた社会課題の解決を目指す活動は「ブルー・スイッチ」と名付けた。日産のEV「リーフ」の国内累計販売10万台突破を記念して、2018年5月にスタートした。「ブルー」には「きれいな空、海を守りたい」、「スイッチ」には「その活動を始めるスイッチを押す」といった意味が込められている。

日産リーフの国内累計販売10万台突破を記念して開催したフォーラムで「ブルー・スイッチ」の始動を宣言した
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日産リーフの国内累計販売10万台突破を記念して開催したフォーラムで「ブルー・スイッチ」の始動を宣言した
(出所:日産自動車)

 21年7月時点で100以上の自治体や企業と協定を結んだ。そのうち、7割が災害関連の協定だ*1。実はリーフが搭載するバッテリーは、AC100Vコンセントを搭載した可搬型給電器などを介して最大4500Wの電力を出力できる。つまり、有事に機動力のある電源として活用できるのだ。

*1 災害対応以外にも、環境負荷低減や観光活性化などを目指して日産は自治体と連携している。例えば、熊本県阿蘇市では21年4月から環境負荷低減などに向けてEVの優遇策を実施している。同市でEVを利用した場合、国立公園の駐車場が無償になったり、有料道路が半額になったりする。

 給電するには、まずEVの車両前部にある急速充電ポートに可搬型給電器の放電用コネクタを接続する。ニチコンが製造する可搬型給電器「パワー・ムーバー」の場合、EVから取り出した直流の電流をAC100Vに変換する。同給電器は最大1.5kW出力するコンセントを3口備えており、そこに家電製品などをつなげて利用する。

 協定を結んだ地区が台風や地震で停電した際、日産や日産のディーラーは避難所などにリーフを派遣する。62kWh大容量バッテリーを搭載した「日産リーフe+」であれば、一般家庭で消費する電力の4日分、スマートフォンで換算すると6200台分もの電気を賄えるという。