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 トヨタ自動車は2021年8月2日、SUV(多目的スポーツ車)の新型「ランドクルーザー」(300シリーズ)を発売した(図1~5)。先代車(200シリーズ)から14年ぶりの全面改良で、トヨタの車両開発手法「TNGA(Toyota New Global Architecture)」に基づく、フレーム車向けプラットフォーム「GA-F」を初めて採用した。価格は510万円(消費税込み)から。

図1 14年ぶりに全面改良した新型「ランドクルーザー」
図1 14年ぶりに全面改良した新型「ランドクルーザー」
価格は、ガソリン車が510万~770万円(消費税込み)で、ディーゼル車が760万~800万円(同)。(出所:トヨタ自動車)
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図2 新型ランドクルーザーのリアビュー
図2 新型ランドクルーザーのリアビュー
車両寸法は全長4950~4985×全幅1980~1990×全高1925mmで、ホイールベースは2850mm。車両質量は2360~2560kgである。(出所:トヨタ自動車)
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図3 新型ランドクルーザーの内装
図3 新型ランドクルーザーの内装
(出所:トヨタ自動車)
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図4 新型ランドクルーザーの「GR SPORT」グレード
図4 新型ランドクルーザーの「GR SPORT」グレード
外観を専用デザインとしたほか、足回りに専用装備を配置した。(出所:トヨタ自動車)
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図5 新型ランドクルーザーの「GR SPORT」グレードのリアビュー
図5 新型ランドクルーザーの「GR SPORT」グレードのリアビュー
(出所:トヨタ自動車)
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 新型車の開発責任者であるトヨタMid-Size Vehicle Company MS製品企画 ZJ 主査の横尾貴己氏は開発の狙いとして、「素性の刷新」を挙げる。信頼性や耐久性、悪路走破性といったランドクルーザーの特徴を継承しつつ、「世界中どんな道でも運転しやすく、疲れにくい走りの実現を目指した」(同氏)という。

 横尾氏の言葉通り、新型ランドクルーザーは車両の根幹をなすラダーフレームをはじめとするボディーからサスペンション、パワートレーン、パワーステアリング(パワステ)まで、新設計した部品を全面的に採用した(図6)。

図6 新型ランドクルーザーのシャシー
図6 新型ランドクルーザーのシャシー
TNGAに基づくフレーム車向けプラットフォームであるGA-Fを初めて採用した。(出所:トヨタ自動車)
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世界初の溶接技術で40kg軽く

 今回の全面改良で特に目立つのが、車両の軽量化である。最上位グレードの「ZX」で比較すると、先代車に比べて約200kgも軽くした。軽量化に大きく寄与したのがGA-Fに基づく新型のフレームと、外板のアルミニウム(Al)合金化である。

 フレームは、「世界初」(トヨタ)の溶接技術を採用することで35~40kgの軽量化を果たした(図7)。「厚さの異なる鋼板をレーザー溶接でつないで1枚の板にして、それをプレス成形でフレームに仕上げる」(横尾氏)手法を開発した。これまでは、鋼板をつなぎ合わせる際にリーンフォースメントと呼ばれる補強部材が必要だった。新しい溶接技術を使うことで、「鋼板の余計な重ね合わせを無くせた」(同氏)。大幅な軽量化を達成しつつ、フレームのねじり剛性は20%向上した。

図7 世界初の溶接技術で補強部材を不要に
図7 世界初の溶接技術で補強部材を不要に
溶接時に発生するひずみを最適に管理することで、補強部材であるリーンフォースメントがなくても厚さの異なる鋼板を1枚の板にできるようにしたという。(出所:トヨタ自動車)
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 外板のAl化によって、40~50kg軽量化できた。フロントフードや全てのドアパネル、ルーフをAl化した。Al合金製のルーフの採用は、トヨタ車で初めてである。Alルーフは軽量化に加えて、「重心を下げる効果もある」(同氏)ため操縦安定性の向上にも寄与しているという。

 操縦安定性や乗り心地の向上を目的に、サスペンションも刷新した。前輪側はダブルウィッシュボーン式で後輪側はトレーリングリンク式と、方式自体は先代車と同じ。大きく変えたのがリアサスペンションのショックアブソーバーの配置である。