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 最先端プロセスで、2024年に競合に追い付き、25年にリーダーのポジションに復帰するーー。米Intel(インテル) CEOのPat Gelsinger(パット・ゲルシンガー)氏がオンラインイベント「Intel Accelerated」(米国時間の21年7月26日に実施)において述べた決意である。このイベントでは、半導体プロセスとパッケージング技術のロードマップを示して ニュースリリース 、21年3月に発表した製造戦略「IDM 2.0」*1に対する顧客の信頼や米国政府の支援を得ることを狙った。

*1 関連記事 Intelの戦略から透ける ムーアの法則の終焉とTSMC頼りのリスク
米Intel(インテル) CEOのPat Gelsinger氏
米Intel(インテル) CEOのPat Gelsinger氏
今回のオンラインイベントでは、半導体プロセスとパッケージングのロードマップを説明した。(出所:Intelのビデオからキャプチャー)
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 今回の発表の骨子は、次の4つである。(1)半導体プロセスの対外的な呼称を改めて、業界(正確には競合)と合わせることで、呼称の違いによる見劣りをなくした。(2)新しい呼称で合計5つのプロセスの生産開始スケジュールや基本性能を明らかにし、最先端プロセス開発に注力していることをアピールした。(3)パッケージングの新技術の生産適用時期を明確にし、半導体微細化(いわゆるMooreの法則)のペースダウンや終焉(しゅうえん)への備えも抜かりがないことを訴えた。(4)新技術で大手顧客の米Qualcomm(クアルコム)と米Amazon Web Services(AWS)と契約したことを明らかにし、新技術が単なる予定ではなく、実際に進んでいることを示した。以下、(1)~(4)のポイントを紹介する。

Intelのプロセスロードマップ
Intelのプロセスロードマップ
32nmまでのプロセスでは平面トランジスタを形成する。22nmからは立体トランジスタ「FinFET」のプロセスである。現在量産中のプロセスは「10nm SuperFin」まで。このプロセスではノートPC向けのMPU「第11世代Intel Core(UP3/UP4)プロセッサー」(開発コード名:Tiger Lake)や「第11世代Core Hシリーズプロセッサー」(開発コード名:Tiger Lake-H)、FPGAの「Agilex」などが造られている。「Intel 7」は以前「Enhanced 10nm SuperFin」と呼んでいたプロセスを改称したもの。その後、Intel 4、Intel 3と続く。Intel 3は最後のFinFETプロセス。Intel 20Aから、GAA(Gate All Around)トランジスタのプロセスになる。(出所:Intel)
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TSMCやSamsungと同じ呼び方に

 最初に、(1)の半導体プロセスの呼称について。かつて半導体プロセスの呼称には、トランジスタのゲート長や最小線幅といった物理的な寸法が使われていた。この名残で、現在でも、10nmや7nm、5nmといった物理的な寸法のような名称が使われることが多い。しかし、トランジスタが平面型から立体型のFinFETに変わったことなどの影響で、呼称の寸法は、どこにも存在しない状態になっている。さらに、半導体技術のロードマップ「ITRS:International Technology Roadmap for Semiconductors」を定める国際活動が終了したことで、呼称の基準がなくなっており、同じ呼称のプロセスでも半導体メーカー間で寸法や性能の差が大きくなる場合がある。

プロセス(プロセスノード)の呼び方を変えた
プロセス(プロセスノード)の呼び方を変えた
Pat Gelsinger氏が説明。ファウンドリー事業で競合する台湾TSMCや韓国Samsung Electronics(サムスン電子)と合わせた。(出所:Intelのビデオからキャプチャー)
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 実際、Intelが10nmと呼んできたプロセスは競合の台湾TSMCや韓国Samsung Electronics(サムスン電子)の7nmに相当し、Intelが7nmと呼んできたプロセスは競合2社の5nmに相当すると、Intelはかねて主張してきた。第三者機関の調査によればIntelの主張通りだが、半導体技術にあまり明るくない投資家には、Intelが1世代遅れているように見える。そこで、今回、こうした見劣りがなくなるように、Intelは呼称の数字を競合2社に合わせた。例えば、TSMCの「N7」と同等とするプロセスは10nmではなく「Intel 7」と呼ぶようにした。なお、現在量産中の10nmプロセス「10nm SuperFin」*2までは、寸法の単位(nmなど)が付いた呼称を残す。Intel 7は、「10nm SuperFin」の改良版(高速化版)「10nm Enhanced SuperFin」の呼称を変えたプロセスである。

*2 関連記事 Intelが本気の10nmモバイルMPU、技術ポイントを見る(2ページ目)

 さらに今回、競合2社と同じように、かつてのフルノード(寸法を小さくして大幅に改善したプロセス)やハーフノード(フルノードに小規模な改良を施したプロセス)という考え方もやめた。平面トランジスタの頃のプロセスの呼称には、90nm、65nm、40nm、28nmというように基本的にフルノードを使い、ハーフノードは、例えば、90nmの第2世代、と呼んでいた。最近は、もともと物理的な寸法に対応していないので、フルとハーフの区別なく、10nm、8nm、7nm、6nm、5nmなどと呼ぶプロセス名がTSMCやSamsungから登場している。これまでのIntelの場合、上述したように10nmはフルノードで、10nm SuperFinやEnhanced 10nm SuperFinはハーフノードに相当する。今後は競合2社と同じく、微細化も含めてさまざまな改良を施して新しいプロセスを開発し、フルノードとハーフノードの区別なく名前をつけていく。

今回5つのプロセス名を新たに発表した
今回5つのプロセス名を新たに発表した
Intel 7とIntel 4は既発表のプロセスを改称したもの。Intel 3からは新規発表。この図にはないが、Intel 20Aの次のIntel 18Aも今回発表した。(出所:Intel)
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