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 「我々が取り組むのは気候変動への対策だ。いつまでにガソリン車を廃止したり電気自動車(EV)の比率を上げたりするといった話ではない」。

 こう強調したのは、日産自動車専務執行役員チーフ サステナビリティ オフィサーの田川丈二氏だ。2021年7月30日、同社はESG(環境、社会性、ガバナンス)の観点で事業活動をまとめた「サステナビリティレポート2021」を発表した。その説明会での発言である。

日産自動車専務執行役員チーフ サステナビリティ オフィサーの田川丈二氏
日産自動車専務執行役員チーフ サステナビリティ オフィサーの田川丈二氏
(オンライン説明会の映像をキャプチャー)
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 日産は、50年までに自動車のライフサイクル全体でカーボンニュートラル(温暖化ガス排出量実質ゼロ)を実現する目標を掲げている。新車の開発から生産、利用、リサイクルまでを含むもので、「気候変動への対策を加速していく」(田川氏)。説明会では、日産のこれまでのCO2排出量の削減成果や現状の取り組みについて、報告がなされた。

新車のCO2排出量を4割減

 まず田川氏が胸を張ったのが、新車からのCO2排出量の削減実績である。日産は日本・米国・欧州・中国といった主要市場における同排出量について、22年度までに00年度比で40%削減する目標を掲げてきた。20年度の実績は37.4%の削減で、目標まであと一歩に迫っている。

 削減に貢献したのは、EV用バッテリー技術の向上と、同社の電動パワートレーン技術「e-POWER」における効率向上だ。10年にEV「リーフ」を発売して以来、「日産は10年以上にわたってバッテリーの技術革新を進めてきた」(田川氏)。そうした成果が徐々に表れている。

新車からのCO2排出量削減
新車からのCO2排出量削減
20年度は00年度比で37.4%削減した。(オンライン説明会の映像をキャプチャー)
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 企業活動全体からのCO2排出量も減らしている。日産は同排出量について、22年度までに05年度比で30%削減する目標を掲げていた。20年度の削減実績は33.7%と順調に推移しており、既に目標を上回っている。

 生産活動に再生可能エネルギーを活用する取り組みも進める。21年3月、同社における英国最大規模の生産拠点であるサンダーランド工場に、20MWの太陽光発電設備を追加導入する計画を発表した。

 同工場は以前から太陽光発電や風力発電を活用してきた。本件の追加導入で再生可能エネルギーの総出力は32MWに拡大する。これは、欧州で販売されるリーフの生産に必要な電力に匹敵する規模だという。