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 新型コロナウイルスの感染拡大は続き、会議やイベントをオンラインで開催する機会は増える一方だ。大人数を集めるイベントをオンラインで開催する企業も出てきた。しかし録画した映像をそのまま流したり、主催者が一方的に話したりするばかりで、一体感や臨場感を得られないオンラインイベントも少なくない。

 では、オンラインイベントで参加者が一体感や臨場感を得るにはどうすればよいのか。グリーは2021年7月15日、グループ企業の全社員が参加するグループ総会のライブ配信でこの課題に取り組んだ。社員の一体感を創出する仕組みを盛り込んだグループ総会の裏側を見ていこう。

グリーのグループ総会の様子
グリーのグループ総会の様子
(出所:グリー)
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モーションスーツを着た新人が司会進行を務める

 グリーにはREALITY(東京・港)という100%子会社がある。グリーのVR Studio部を前身とし、バーチャルライブ配信アプリ「REALITY」の運営やバーチャルライブ制作のXRエンターテインメントのメタバース事業を展開する。

 そのXR Entertainment事業部 Productグループ PdMチームの千田誠氏にグリーの人事部からグループ総会の相談が舞い込んだのは2021年6月のこと。「毎年開催しているグループ総会を仮想空間でライブ配信できないか」というものだった。

 グリーでは毎年ホテルなどの会場を使ってグループ総会を開催。成果を上げたグループや個人に対して表彰などを実施していた。グループ全体の一体感の創出や社員の士気向上といった狙いがある。しかしコロナ禍により社員一同が集まるイベントは開催できない。2020年の総会は事前に録画した映像を流すという形で実施した。社内からは「ただ映像を流すだけではなく、受賞者の生のコメントを聞きたい」といった声が寄せられたという。

 人事部担当者から相談を受けた千田氏は「ライブ配信なので失敗できないと思うと同時に、集まった人がすぐに退出してしまわないか不安だった」と打ち明ける。単に仮想空間に人を集めるだけでは事前に用意した映像を流すのと変わらない。参加者が飽きてしまう可能性もある。

 そこで千田氏は参加者が楽しめる仕掛けを施した。1つが仮想空間ならではの演出だ。レッドカーペットが敷かれた総会用に特設ステージを作り、司会者が3D CGのアバター姿で進行する。司会者は2021年4月に入社した新人2人が担当した。司会者自らREALITYのアプリケーションを利用してアバターを作製。モーションスーツを着た2人の動きに合わせて、司会者のアバターが動くようにした。

モーションスーツを着た司会者
モーションスーツを着た司会者
(出所:グリー)
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