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 電力損失を大幅に削減できるパワー半導体のSiC(シリコンカーバイド、炭化ケイ素)において、欧州企業が早ければ24年までに、口径200mm(8インチ)の基板(ウエハー)を利用して量産する。現在主流の口径150mm(6インチ)基板に比べて生産性を高め、SiCの積年の課題であるコストを大幅に下げる。一方、現時点においてSi(シリコン)パワー半導体で強い立場にいる日本メーカーは、200mm基板に移行する時期を明確にしていない。SiCの大口径化で、欧州勢がライバルの日本勢の先を行くとみられる。

 SiCパワー素子はSiパワー素子に比べて損失が小さく、耐圧600~6.5kVといった中耐圧から高耐圧での利用に向く。こうした耐圧で、現在主に利用されているのはSi IGBTである。Si IGBT (絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ)の製造では、口径300mmのSi基板での量産が始まっているものの、主流は200mm基板である。一方、SiCパワー素子では、150mm基板が主流である。すなわち、200mm基板の導入でSiCはSi IGBTに追い付く形になる。

 200mm SiC基板の導入に積極的なのは、伊仏合弁STMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)だ。同社は21年8月、口径200mmのSiC基板を開発したことを明らかにした。現在この基板は、SiCパワー素子の試作開発用だが、24年までに同素子の量産に適用する。同社によれば、200mm基板を利用することで、150mm基板に比べて1.8~1.9倍の良品チップを製造できるという。その分、SiCパワー素子のコスト削減が可能になる。

STマイクロが開発した200mmSiC基板
STマイクロが開発した200mmSiC基板
(出所:STマイクロ)
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 パワー半導体最大手のドイツInfineon Technologies(インフィニオン テクノロジーズ)も25年に200mmのSiC基板でSiCパワー素子を量産すると20年に発表している。競合のSTマイクロの発表で、25年の計画を前倒しする可能性がある。