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 日常のごみが資源に変わる――。積水化学工業(以下、積水化学)が、日々捨てられている一般家庭のごみ(以下、ごみ)を資源化する技術の確立を目指している。米国のスタートアップ企業であるLanzaTech(ランザテック)が発見した微生物を利用し、ごみをガス化した際に発生する水素や一酸化炭素からエタノールを生成する。微生物を利用した実証プラントで実験し、25年以降の事業化を目指す。

 積水化学は、ランザテックがウサギの体内で発見した微生物に着目。ごみの資源化プラントとして実用化することで、現在廃棄しているごみを有効活用して資源の無駄を省くことを狙う(図1)。ごみ資源化プラントの設置場所は、既存のごみ処理施設の近くなどを想定する。

図1 ランザテックの微生物
図1 ランザテックの微生物
一酸化炭素と水素からエタノールを生成する。(出所:積水化学)
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 積水化学が狙うごみの資源化プロセスは以下の通りだ(図2)。(1)ごみを収集、(2)収集したごみを熱分解によってガス化(水素や一酸化炭素の発生)、(3)発生したガス成分を調整、(4)微生物に水素や一酸化炭素を与える、という手順である。

図2 ごみの資源化プロセス
図2 ごみの資源化プロセス
ごみの収集、ガス化、ガスの調整、エタノールの生成を通じて資源化を実施する。(出所:積水化学)
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 このうち、(2)のプロセスにおけるごみのガス化では、低酸素環境下でごみに熱を加えて一酸化炭素と水素に変換する(図3)。通常の燃焼で二酸化炭素に変えた場合と比較して、ごみが保有するエネルギーを保持できる特徴がある。ごみの発生量にはばらつきがあるため、一度ガス化によって均一な資源に変換する狙いがある。

図3 ごみのガス化
図3 ごみのガス化
一酸化炭素と水素に変換し、ごみが保有するエネルギーを維持する。このガスを微生物に利用する。(出所:積水化学)
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 (4)のプロセスでは、プラント内に微生物が浮遊する水を入れたタンクを設けた。このタンク内をガスが通過すると、微生物の分解によってエタノールが生まれる。「微生物とガスをどう接触させるかにノウハウがある。エタノールの生成は、菌の発酵で酒ができるイメージ。ランザテックの微生物はガスからそれを生み出す」(積水化学新事業推進部BRグループ開発ユニット長の小間聡氏)

 ごみを資源化する際の課題は2つあった。[1]ごみをガス化する際の不要な物質(ガス)の発生と[2]設備停止時のプラント環境の変化である。