全2272文字
PR

 花王が幼児から大人までの歩き方の研究を加速させている。同社はこのほど、幼児の歩行の発達を定量するために、スマートフォンなどで動画を撮影するだけで簡単に幼児の歩行動作を解析できる技術を開発した。保護者が幼児の様子を撮影して歩行の発達具合を容易に確認できることを目指す。個々の発達にあった育児支援や情報提供を受けられるサービス開発などに役立てる。さらに今後、幼児だけではなく高齢者の歩行支援などにつなげていく。

スマホなどで撮影した2次元の歩行動画を3次元の情報に変換する
スマホなどで撮影した2次元の歩行動画を3次元の情報に変換する
(出所:花王)
[画像のクリックで拡大表示]

 歩行動作を詳細に解析する方法としてモーションキャプチャー技術がよく知られている。3次元の動作を正確に解析できる長所がある一方で、継続的に計測するには手間がかかるとされる。解析対象者の体に複数の反射マーカーを装着してもらうほか、様々な角度からの撮影が必要となり、高価な赤外線カメラを10台以上用意する場合もある。また関節に合わせたマーカーの装着に専門的な知識が求められるなど、計測に制約があるのが現状だ。加えて幼児を対象にモーションキャプチャー技術を用いると、幼児の機嫌などによってデータを取得するのに時間を要する場合がある。

 そこで花王はスマホなどで撮影した2次元の動画があれば、機械学習を用いてモーションキャプチャー技術のような3次元の歩行動作として解析できる「mGCC(mobile Gait Change Capture、エムジック)技術」を開発した。スマホにも搭載されている一般的なRGBカメラで撮影した2次元の動画に、手作業で関節の位置に印をつけて学習させてモデルを構築し、体の動きを3次元のデータとして解析できるようにした。

 歩行解析が生かせるのは、幼児の発達の定量にとどまらない。昨今、高齢者の健康維持には歩数や歩行時間など「歩行の量」だけではなく、歩き方や速度など「歩行の質」が重要であることが分かってきた。歩行の状態を簡単に可視化できれば、日常生活動作(ADL)の低下やフレイル(加齢による虚弱化)発症の予防につながる可能性がある。