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 「副業はキャリア資産の蓄積につながると感覚的に思ってきたが、それがデータでも裏付けられた」――。パーソルプロセス&テクノロジー(東京・江東)の成瀬岳人ワークスイッチ事業部事業開発部部長はこう語る。

 キャリア論に詳しい法政大学の田中研之輔教授の監修を受け、同社はキャリア形成に欠かせない無形資産、すなわちキャリア資産を以下の3つに分けて可視化するツール「プロテア」を開発した。1つ目は職務遂行に欠かせない知識や技術、コミュニケーションスキルなどの「生産性資産」、2つ目は精神的健康や自己納得感といった「活力資産」、3つ目は自分と外部がつながるパーパス(目的)や役割などの「変身資産」である。ポイントはこれらを自己採点で記入することだ。

 この機能を基に2021年3月5日~8日に全国1300人の正規雇用の会社員を対象としてキャリア資産の蓄積状況を調べる「キャリア資産実態調査」を実施した。

 同社が2021年8月5日に発表した調査結果によると、複数の仕事を掛け持ちする「複業」を実施する人のキャリア資産は1社のみで働く人に比べて、これら3つの要素いずれにおいても約1.2倍となった。その理由を成瀬部長は以下のように分析する。

「複業」する人のキャリア資産は1社のみで働く人に比べて、3つの要素のいずれにおいても約1.2倍となった
「複業」する人のキャリア資産は1社のみで働く人に比べて、3つの要素のいずれにおいても約1.2倍となった
(出所:パーソルプロセス&テクノロジー)
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 副業をした結果、自分の持つスキルが思っていたより通用すると分かり、自分の生産性資産を高く採点する傾向があるためだ。また仕事を自分で選んでいるという自己選択感や未来を自分で切り開いているという自己創出感が高まった結果、自分が持つ活力資産についての評価も上がった人が多いとみる。

 さらに副業をするきっかけは知り合いからの紹介というケースが多い。人脈やコミュニティーを持っているために副業を始め、副業をした結果、人脈やコミュニティーがさらに広がるというサイクルを生んでいるという。

副業・兼業解禁を「キャリア自律を促す」手段に

 「顧客企業と話していると、この数カ月で副業・兼業解禁に向けて着手する企業が増えている印象がある」と成瀬部長は話す。新型コロナウイルスの感染拡大に見舞われた2020年は本業において社員の仕事が大きく減った一部の企業で副業解禁や出向といった取り組みが進んだ。しかしこれらは「やむを得ず容認する」といった感じが強かった。