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 「府省庁横断DX(デジタルトランスフォーメーション)審議会の創設を」「幹部官僚のリスキリング(学び直し)を」――。2021年9月1日のデジタル庁発足を控え、霞が関や自治体の職員、企業の社員らが有志で参加する勉強会は2021年8月20日、平井卓也デジタル改革相に対して行政DXに関するこんな提言を発表した。

 勉強会のメンバーの多くは行政職員と、行政関連事業に携わってきた企業社員が占める。提言の背景には、行政や行政ITに携わる当事者としての現状の課題認識がある。

161人の有志が8回の勉強会を重ねる

 「提言や意見を聞いて心強く思った。ぜひ連携をさらに深めたい。皆さんと一緒に小さいことから実現に向けて進めていく」。平井大臣は同日、Web会議サービスのZoomを介して勉強会メンバー約30人から提言の発表を受け、続く約30分の意見交換を経てこうまとめた。

平井卓也デジタル改革相と意見交換した約30人の勉強会メンバー
平井卓也デジタル改革相と意見交換した約30人の勉強会メンバー
(出所:世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター)
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 勉強会の正式名称は、世界経済フォーラム第四次産業革命日本センターと東京大学未来ビジョン研究センターが主催する「デジタルガバナンスラボ」である。参加する有志は、中央省庁の職員のほか、ITベンダーなどの社員、自治体職員、弁護士、大学研究者、地域の課題解決に市民自らがITを使って取り組む活動である「シビックテック」の関係者などである。

 政府CIO補佐官や、中央省庁や自治体でシステムの開発・運用を担当する職員やベンダー社員も参加している。メンバー161人のうち、中央省庁の職員と企業の社員がそれぞれ約3分の1を占める。

 デジタルガバナンスラボは2020年11月にスタートし、行政DXについて計8回のオンライン勉強会を実施してきた。週末に約3時間、有識者の講義と小グループでのディスカッションをしたほか、ビジネスチャットの「Slack」上でも議論を重ねてきた。これらを踏まえて、一部のメンバーが提言を作成した。

 提言の柱は4つ。「システムを継続的に改良する点を踏まえた、調達実務改革」「府省庁横断のDX推進のための新たな組織・予算」「官僚幹部に対するリスキリング」「外部との連携プロジェクト参画含めたOJT(職場内訓練)型研修の推進」――である。

提言の全体像とその関係
提言の全体像とその関係
(出所:世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター)
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「デジタル以前に、霞が関の府省庁間の仲が悪い」

 2つ目にある「府省庁横断のDX推進のための新たな組織・予算」を平井大臣に提言したのは井上裕介氏だ。井上氏は約20年にわたり厚生労働省に勤めるなかで感じた課題を提言に込めた。

 「デジタル以前に、霞が関の府省庁間の仲が悪いのが問題だ。それがシナジーを阻んでいる」と井上氏。背景にあるのが、各府省庁内の縦割りの中で政策立案から予算編成、予算執行までが進められる現状だと話す。