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 英Colt Group(Coltグループ)でデータセンター(DC)事業を展開する英Colt Data Centre Services(Coltデータセンターサービス、DCS)は、日本でのハイパースケール向けDC事業の強化に向けて三井物産と協業する。まもなく埼玉県でDC用の土地を取得する計画だ。

 Colt Groupの親会社である米金融サービス大手のFidelity Investments(フィデリティ・インベストメンツ)と三井物産の合弁事業(JV)にColt DCSが参加する形で新たなDCを設ける。Colt DCSが日本で運用するDCの規模は電力容量で50メガワット(MW)になるが、合弁事業後は3倍の140MWに拡大する予定という。同社でグローバルアカウント&ソリューションを担当するバイスプレジデントのクイ・グエン氏に、協業の狙いや今後の展開などを聞いた。

三井物産と組んだ理由は。

 Colt DCSは1999年から日本で事業を展開しています。当時はKVHという社名でしたが、2014年にColt Groupに買収された後も事業は順調に拡大しています。DCを取り巻く環境が急激に変化する中、その成長をさらに加速するためのパートナーを探していました。

 当社がDC事業を拡大する上で大きな課題となっていたのが、土地の取得と電力供給源の確保です。三井物産はこれらの分野で大きなリーチを持っています。今後は土地取得で力になってもらえますし、まだ市場に出ていない土地を紹介して頂くことも期待しています。

 三井物産と提携した2つめの理由は、様々な業界で多くの顧客ベースを持っていることです。DCの顧客を紹介して頂けるという点でも非常に魅力的なパートナーだと考えています。

 当社単独でハイパースケール向け事業を続ける選択肢もありましたが、これまでのビジネスではスピードが足りませんでした。例えば、当社は現在、大阪エリアで「大阪京阪奈データセンター」の建設を進めています。このDCは土地を見つけるのに2年かかり、さらにDCの構築にも2年を要しています。DC市場が激しく変化する中で、ビジネスをスピードアップするにはパートナーが必要だと判断しました。

Colt DCSでグローバルアカウント&ソリューションを担当するバイスプレジデントのクイ・グエン氏
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Colt DCSでグローバルアカウント&ソリューションを担当するバイスプレジデントのクイ・グエン氏

どのような形で協業するのですか。

 今回のプロジェクトでは、三井物産とFidelityがDCの開発・運営に関するJVとして、50:50の保有割合で不動産の資産保有会社とDCの事業運営会社を設立します。この事業運営会社によるDCの開発やセールスマーケティング、運営などの業務を当社が担う形です。

 当社は1999年の参入以来、たくさんの大手顧客を獲得してきました。例えば「東京塩浜データセンター(東京都江東区)」は多くの金融機関や証券会社などが利用しています。また「印西データセンター(千葉県印西市)」は、ハイパースケール向けとして5年ぐらい前から大きな実績を上げています。JVでは様々なサービス会社を検討していましたが、当社のこうした実績が勘案されプロジェクトに参加することになりました。

Colt DCSの「印西データセンター」
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Colt DCSの「印西データセンター」