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 世界中のデータサイエンティストがしのぎを削るコンテストプラットフォーム「Kaggle(カグル)」。そのKaggleにおいて2021年1月から8月にかけて開催されたゲームAI(人工知能)の国際コンペティション「Hungry Geese」で、ディー・エヌ・エー(DeNA)のチームが優勝を果たした。

Hungry Geeseのゲーム画面
Hungry Geeseのゲーム画面
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 優勝したDeNAのチームは、機械学習の手法の1つでコンピューターが試行錯誤しながらより良い行動を学習していく「強化学習」に特化した自社開発のライブラリーを使い、Hungry GeeseのゲームをプレーするAIを構築した。同社システム本部データ統括部データサイエンス部第二グループの田中一樹氏と、新規事業創出支援を手掛けるquantumのAI技術顧問で、DeNAでは強化学習の研究開発に携わる大渡勝己氏のチームが、875組(計1039人)の頂点に立った。

 ここ数年、Kaggleへの参加を積極的に進めてきたDeNA。今回の優勝は社内外へ自社のAI技術をアピールする絶好の機会となった。成果を自社のゲーム開発に生かすだけでなく、AIの技術力を生かした他社との協業のきっかけにもしたい考えだ。

複数人対戦ならではの難しさ

 コンペと同名のゲーム「Hungry Geese」は4チームで対戦する。7×11マスの盤上を、自身のチームと他のチームのガチョウ(Geese)の体がぶつからないよう、ガチョウの頭を移動させる。1ターンに1マス移動でき、盤上の「食べ物」を食べることで体の長さを1マス分伸ばすことができる。

 ガチョウの頭が相手または自分の体にぶつかってしまうと負けとなる。相手をよけながら体を伸ばしていき、最後まで生き残ったチームが勝利となる。最終の200ターンまで複数チームが残っていた場合は、最も体の長いチームが勝ちとなる。

 「複数人対戦ならではの難しさがあった」と大渡氏は同コンペを振り返る。相手を追い詰めるだけでなく、時には協力的な動きが求められたり、相手の出方によって作戦を柔軟に変えたりする必要があるからだ。大渡氏と田中氏のチームは強化学習を主軸に、約2000万回の対戦を繰り返しながらAIモデルを鍛え、「安定して勝利できるための工夫を加えながら学習した」(大渡氏)モデルを作り上げた。

quantumのAI技術顧問で、DeNAでは強化学習の研究開発に携わる大渡勝己氏
quantumのAI技術顧問で、DeNAでは強化学習の研究開発に携わる大渡勝己氏
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 Kaggleといえば、与えられたデータセットに基づく画像分類やレコメンドなどの機械学習タスクがコンペの対象となることが多かった。一方、田中氏によればこの1年ほどで、強化学習を含むゲームAIの分野が増えているという。「ハイレベルなAIの専門家が多くいるKaggleにおいても、強化学習はまだまだ使いこなせる人が少ない技術であり、注目度が上がっている」(田中氏)。

DeNAシステム本部データ統括部データサイエンス部第二グループの田中一樹氏
DeNAシステム本部データ統括部データサイエンス部第二グループの田中一樹氏
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