リコーが立体映像装置の開発に力を注いでいる(動画1)。裸眼で360度全方向から視聴できることが特徴だ。平面ディスプレーに映す一般的なものではなく、独自開発のスクリーンとプロジェクターを組み合わせて実現したとする。リコーは技術を明かしていないため、専門家にどんな技術か予想してもらった。
動画1 リコーの開発する立体映像装置「WARPE」
(出所:リコー)
リコーが開発するのは、円筒型の立体映像装置「WARPE(ワープイー)」だ。これまで裸眼で見られる立体映像装置の開発例として、平面ディスプレーに映すものが多かった。ただし、映像を見られる角度が限られており、目の位置をセンシングする必要があるために複数人で見られないなどの欠点があった。
リコーの新開発品では、複数人が全方向から同時に視聴できる。展示会での製品展示などに活用しやすい。まずはデジタルサイネージへの応用を見込み、2022年度の商品化を目指す。リコーの開発担当者は「将来的にはリモート会議でのリアルタイム通信に活用したい」と見据える。
WARPEの外形寸法は高さ140cm、直径40cm。装置上部に高さ40cm、直径25cmの投映スクリーンを設置する。「21年8月時点で映像を構成する立方体の数は3.7億ボクセルで、平面映像に換算すると207万画素程度」(リコー)という(図1)。
WARPEでは、体積表示(Volumetric Display)と呼ばれる技術を活用して立体映像を投映する。体積表示方式のほとんどは、立体物の断面といった2次元映像をスクリーンなどに順次投影し、そのスクリーンを高速に動かすことで3次元映像に見せるもの。断面の残像を利用することで、立体映像に見せるわけだ。
同装置は上部に「独自開発した特殊スクリーン」(リコー)、下部にプロジェクターを設置する。プロジェクターから回転する特殊スクリーンに断面映像を順次投映し、360度の周囲から裸眼で見られる立体映像を実現した。
リコーはスクリーン形状などの技術の根幹については「未公開」として明かさない。そこで立体映像の専門家に予想してもらった。