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 日野自動車がDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みを本格化させるために、広く外部と協業するオープンイノベーションにかじを切った。

「日野にはデータ活用のノウハウがなかった」

 同社は2021年8月18日にビジネスコンテスト「HINO ACCELERATOR 2021~HINO DE SAFARI~」の最終選考会を開催した。応募した全60社の中からグランプリに損害保険ジャパンを、優秀賞に東京大学発の位置情報ベンチャー企業であるLocationMindを選んだ。日野は今後、2社からの提案について具体的な検討を進める。

「HINO ACCELERATOR 2021~HINO DE SAFARI~」最終選考会の様子
「HINO ACCELERATOR 2021~HINO DE SAFARI~」最終選考会の様子
(撮影:日経クロステック)
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 日野でこの取り組みを主導するのは、ヤマトホールディングスとイオンでCIO(最高情報責任者)を務め、2020年に日野に転じた小佐野豪績CDO(最高デジタル責任者)だ。小佐野CDOは「同じ製造業でも、電機メーカーなどは既にハード売り・モノ売りから、ソフト売り・コト売りに大きくシフトしている。ところが、自動車メーカー、特に当社のようなトラックメーカーは遅れていて、まだハード売りのまま変わっていない」と述べた。

日野自動車の小佐野豪績CDO(最高デジタル責任者)
日野自動車の小佐野豪績CDO(最高デジタル責任者)
(撮影:日経クロステック)
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 日野もソフト売りへの転換を目指して、コネクテッドサービス「HINO CONNECT」を投入。2019年以降は大型・中型・小型トラックを含む全車種で提供している。HINO CONNECT搭載車からはIoT(インターネット・オブ・シングズ)機器経由で位置情報や速度、エンジン状態など300項目ほどのデータを取得してサーバーに集約できる。

 ただ、データを集めるだけではソフト売りに転換できない。「日野にはデータ活用のノウハウがなかった」(小佐野CDO)。日野内部である程度データを活用できても、トラックユーザー向けにデータを基にしたサービスを展開するノウハウに乏しかった。そこで、HINO ACCELERATORを初めて開催し、外部から広くアイデアを募ったわけだ。

損保ジャパンは安全運転支援を提案

 グランプリを受賞した損保ジャパンは「ガンバリ運転ゼロプロジェクト」を提案した。HINO CONNECTのデータと、トラックドライバーから測定するデータを組み合わせて、健康に起因する事故を防ぐ仕組みを構築しようというアイデアだ。

損害保険ジャパンが提案した「ガンバリ運転ゼロプロジェクト」の概要
損害保険ジャパンが提案した「ガンバリ運転ゼロプロジェクト」の概要
(撮影:日経クロステック)
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 例えば測定データでストレスが高まっており、HINO CONNECTのデータでトラックの急発進や急ブレーキが目立つようなら、ドライバーに休憩を促す通知を出す。