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 航空機メーカーなどが構成する「航空機開発におけるMBD技術情報交換会」(MBAC;Model-Based Aviation development Consortium)が策定した、制御システムモデルの流通や作成方法についての標準規約の概要が明らかになった。MBACのコアメンバー企業から、IHI航空・宇宙・防衛事業領域技術開発センター制御技術部システム技術グループ主査の坂井俊哉氏と三菱重工業防衛・宇宙セグメント 航空機・飛昇体事業部 航空機技術部部長の増子洋一郎氏が共同で2021年8月に説明した。欧米などに比べて遅れ気味といわれる、モデルベースシステムズエンジニアリング(MBSE)とモデルベース開発(MBD)の普及を航空業界全体で推進する目的だ。

* MBACは約10社が参加。コアメンバーはIHI、SUBARU、東京計器、日本航空電子工業、三菱重工業。

 MBACは「モデル流通WG」と「モデル作成規約WG」の2つのワーキンググループを設置。モデル流通WGは、機体メーカーと装備品メーカーの間で、開発対象の装備品に関する情報をモデルでやり取りするためのルールを検討した。モデル作成規約WGは、システム開発ツール「MATLAB/Simulink」でシステム・シミュレーションを実行するためのモデルについて、細部の記述方法などを細かく定めた。MBACはシステム開発ツール「MATLAB/Simulink」(米MathWorks)をベースにした設計開発環境の向上を目的としたユーザー会で、基本的にはMathWorks製ツールの利用を前提としている。

 モデル流通WGにおいて、企業間でやり取りするモデルとして想定したのは、MBSEでのシステムモデル(文書の代わりに仕様を表現するモデル)と、MBDでのシミュレーションモデル(試作機や実験の代わりにコンピューターで動作を検証するモデル)の両方。前者のシステムモデルについては、例えば仕様を表現する上での各社でのスタイルの違いをどうそろえるか、「基本設計レベルのシステムモデル」はどのくらいの細かさの情報を含むべきか、といった点の検証を始めており、今後も継続する。MBSEのプロセスについてオープンソースのモデル記述言語「SysML」と、MathWorksのMBSEツール「System Composer」の比較検証も実施し、両者に大きな差はないがSystem Composerの方がMATLAB/Simulinkの要求管理機能やシミュレーション機能に連係しやすい、と確認した。

 シミュレーションモデルについては、機体メーカーと装備品メーカーの間で実際にモデルをやり取りする検証を実施した(図1)。機体メーカーが装備品メーカーに対して、比較的簡単な装備品を例題にした要求仕様を出し、同時に制御装置(コントローラー)のシミュレーションモデルを渡す。装備品メーカーは要求仕様に従って装備品を設計し、制御を受ける装備品のシミュレーションモデル(プラントモデル)を作成。機体メーカーがコントローラーモデルとプラントモデルを組み合わせてシミュレーションを実施した。

図1 機体メーカーと装備品メーカーの間でシミュレーションモデルをやり取り
図1 機体メーカーと装備品メーカーの間でシミュレーションモデルをやり取り
機体メーカーの要求仕様とコントロールモデルを基に、装備品メーカーが装備品を設計してプラントモデルを作成した。(出所:MBAC、一部変更)
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