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 米Tableau Software(タブローソフトウエア)は、2019年に約1兆7000億円という巨額で顧客関係管理(CRM)のクラウドサービス大手の米Salesforce.com(セールスフォース・ドットコム)に買収された。タブローはビッグデータを可視化・分析するツールやサービス「Tableau」を提供している。分析ツールのトレンドは何か、セールスフォースの傘下でどのような変化があったのか。タブローのプレジデント兼CEO(最高経営責任者)に2021年3月就任したマーク・ネルソン氏に聞いた。

タブローソフトウエアのマーク・ネルソン プレジデント兼CEO。ドイツSAP傘下で経費クラウドサービスを提供する米コンカーのCTO(最高技術責任者)から2018年に移籍。タブローではプロダクト開発のエグゼクティブバイスプレジデントとして、製品やエンジニアリングのチームを率いていた
タブローソフトウエアのマーク・ネルソン プレジデント兼CEO。ドイツSAP傘下で経費クラウドサービスを提供する米コンカーのCTO(最高技術責任者)から2018年に移籍。タブローではプロダクト開発のエグゼクティブバイスプレジデントとして、製品やエンジニアリングのチームを率いていた
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セールスフォースがタブローを買収してどのような変化があったのか?

 私はタブローがセールスフォースの一員になったことを、「ピーナツバターとチョコレートを一緒にするようなものだ」と言っている。2つを一緒にするとよりよいものができるのだ。セールスフォースのCRMアプリケーションは、顧客や営業のデータで成り立っている。Tableauを使うことで、そこからさらにビジネス的に価値のあるデータを見いだしたり、洞察を得たりすることができるようになる。もちろん、この組み合わせは数字として収益に貢献している。

セールスフォースはタブロー買収前に、データマネジメントの米MuleSoft(ミュールソフト)も買収している。タブローとミュールの連携や相乗効果は。

 非常にうまく連携できている。ミュールソフトはセールスフォースや顧客の他のデータソースをつないで統合するための、いわゆる「データファブリック」を提供している。ここでタブローとミュールソフトの連携によって、そのデータファブリックからAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を通じてデータを取得し、Tableauで容易に可視化したり分析したりできるようにした。データを生み出すセールスフォース、つなぐミュール、そして分析するTableauという、非常に強力な組み合わせになったわけだ。

全米で80以上の政府機関、州、地方自治体がTableau利用

データ駆動型としてベストプラクティス(最適解)を実践している企業を挙げてほしい。

 米大手金融機関のモルガン・スタンレーではないか。3万人もの従業員に対して、非常に深いデータ文化を確立した。金融機関はガバナンスや適切な注意が必要であり、規制の対象となる機密性の高いデータも扱う。同社はこうしたデータを適切に管理することで、従業員の誰もが利用できる堅牢(けんろう)なデータインフラを構築した。

 日本に目を向けると、住友ゴム工業では従業員1人ひとりがデータをすぐに利用できる「データ分析のセルフサービス」文化をつくり上げている。Tableauの推進チームを立ち上げて、データをより深く掘り下げて分析できるようになった。このほか日本航空は5年間で70万回以上のフライトから得たデータを分析し、安全基準に反映させるのに活用している。Tableauの分析データの一部を顧客に共有することも考えていると聞く。

 デジタルトランスフォーメーション(DX)と言ったときに、データトランスフォーメーションも必要だと強調したい。

 コロナ禍ではDXを余儀なくされた企業が多くあった。そのトランスフォーメーションの際に必要となるのは、判断のためのデータだ。顧客行動がどのように変わったのか、施策は有効だったのかをデータで確認しないと、事業のピボットもできない。

 例えば日本政府の「ワクチン接種状況ダッシュボード」をはじめとして、全米でも80以上の政府機関、州、地方自治体が、Tableauを利用している。データを集約して自分たちの周りや世界に起こっていることがどのくらい深刻なのかを分かりやすく見せることができるのだ。

日本政府の「ワクチン接種状況ダッシュボード」
日本政府の「ワクチン接種状況ダッシュボード」
(出所:内閣官房 IT総合戦略室 https://cio.go.jp/c19vaccine_dashboard)
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