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 クボタとアグリテック系のスタートアップなど6社が、ハウス栽培のスマート化に向けた実証実験を共同で始めた。個々の参画企業が開発したスマート農業のクラウドサーバーを相互接続し、データを共有することで新サービスの開発につなげる。実証実験の本格化はこれからだが、実証実験で使う農地を共同で整備するなかで早くも今後のスマート農業の展開に向けたポイントが見えてきている。

 2021年9月上旬、群馬県内の農業用ハウス。人の背丈より高いアスパラガスが青々と育っている。「1年目は刈り取らずに生やしておき、根をしっかり張らせます。秋になると養分が全て根に下りて、来年以降の栽培につながります」。クボタの新規事業部門であるイノベーションセンタービジネスインキュベーション部アグリビジネス企画室の萩本誠晃氏が説明を加える。

クボタなど6社による共同実証が始まった、群馬県内の農業用ハウス
クボタなど6社による共同実証が始まった、群馬県内の農業用ハウス
(撮影:日経クロステック)
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 同ハウスはイノベーションセンターが管理している。共同実証用の農地を整備し、2021年7月から共同実証を展開中だ。前述のアスパラガスの本格栽培は2022年以降で、春から夏にかけて複数回の収穫ができる見通しという。

 共同実証に参画するのは6社だ。クボタと販売会社の関東甲信クボタのほか、アスパラガスの収穫ロボットを手掛けるinaho、農作物の生育状態を解析するAI(人工知能)などを手掛けるオプティム、農地への水やりや施肥の自動化システムを提供するルートレック・ネットワークス、農薬散布ロボットを開発するレグミン――である。

 ハウス内には既に、各社が実用化済みの複数のセンサーやカメラを設置してある。センサーは気温や湿度、日照、二酸化炭素の濃度、土壌内の含水率といったデータを取得している。天井付近に設置したカメラでアスパラガスの葉の状態なども撮影している。

気温や湿度、日照、二酸化炭素の濃度など、ハウス内の環境を測るセンサー
気温や湿度、日照、二酸化炭素の濃度など、ハウス内の環境を測るセンサー
(撮影:日経クロステック)
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 センサー類から得たデータは、いったん各社が展開するスマート農業のクラウドサーバーに集約される。そこからクボタが仲介する形で、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を介して各社がデータを相互利用する環境を構築した。

 今後、ハウス内に6つある区画ごとに水やりや施肥の頻度・量といった栽培条件を変え、生育状態がどう変化するかを確認する。併せて、カメラで確認した葉の虫食い部分のみに農薬散布ロボットがピンポイントで農薬を散布するといった試みも順次展開していく。