全1416文字
PR

 2021年8月24日、ドリーム・アーツは「大企業の管理職1000名に聞いた『DX/デジタル化』に関する調査」の結果を公開した。従業員数1000人以上の大企業の経営層と役職者を対象に、DX(デジタルトランスフォーメーション)とデジタル化への取り組みについて聞いたものだ。

「DXとデジタル化の違いを説明できるか」という設問に対する回答の割合
「DXとデジタル化の違いを説明できるか」という設問に対する回答の割合
(出所:ドリーム・アーツ)
[画像のクリックで拡大表示]

 調査では対象者にDXの理解度を確認したが、「DXとデジタル化の違い」について7割以上が「説明できない」と回答している。DXの重要性が叫ばれる中、なぜこのような結果が出たのか。

6割が「ハンコのデジタル化はDX」

 ドリーム・アーツはDXとデジタル化の違いを多くの企業が説明できない理由について「今のところDXは、話題となるが本質的には理解されづらいバズワードだからだ」(同社広報)とみる。とりあえずDXの名を冠した部署を設けても、重要な経営課題である旨のメッセージが発信されていなかったり、DXに関する考察や探究を進められていなかったりするケースは多いという。

 DXは2004年にスウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン氏らが提唱したといわれ、ITを利用して製品やサービス、ビジネスモデルやビジネスプロセス、さらには組織や業界構造を刷新する取り組みを指す。一方でデジタル化は既存の仕組みや設備をデジタルに置き換えることを指し、主に業務の効率化を目的とする。

「DXに関する問いに同意できるか」の集計結果
「DXに関する問いに同意できるか」の集計結果
(出所:ドリーム・アーツ)
[画像のクリックで拡大表示]

 刷新と効率化、大きく意味が異なるにもかかわらず多くの企業はそれらを混同していることが調査結果から見て取れる。例えば「顧客/パートナーとの請求書や契約書のやり取りをクラウド化することはDXか」「紙業務やハンコの必要だった業務をデジタル化することはDXか」という問いに対し、どちらも6割程度の対象者が「そう思う」「ややそう思う」と回答している。これらは後のDXの土台になると考えることはできるが、請求書やハンコのデジタル化そのものをDXと呼ぶことは元来の定義にそぐわない。