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 米Intel(インテル) CEOのPat Gelsinger氏は、「ミュンヘンモーターショー2021(IAA MOBILITY 2021、一般公開日:21年9月7~12日)」の基調講演に登壇し、欧州における半導体生産能力の強化について語った ニュースリリース 。その中で目を引いたのは、台湾TSMCを意識した、アイルランド工場における車載半導体の受託製造の強化策だった。

図1●登壇したPat Gelsinger氏
図1●登壇したPat Gelsinger氏
(出所:基調講演のビデオからキャプチャー)
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 Gelsinger氏の基調講演で、まず驚いたのは同氏が背広姿でネクタイを着けて登壇したことだ(図1)。CEO就任以来、オンライン会見における同氏は、Intelのコーポレートカラーを連想させる薄いブルーの開襟シャツを着ており、シリコンバレー企業のCEO然としていた。背広にネクタイ姿は、今回の基調講演がリアルで行われたためか、欧州で行われたためかは定かではないが、これまでとは違う意思を感じさせた。

 ドイツ開催の自動車イベントでの基調講演という場のためだろう、同氏の話は、欧州や自動車に焦点を合わせていた。例えば、同氏が21年3月に、製造力強化戦略「IDM 2.0」を語った際にはアジアに偏っている半導体生産能力を問題視し、主に米国における生産能力強化について語った*1。今回は欧州の生産強化を訴えた。同氏によれば、1990年には欧州は全世界の44%の半導体を生産していたが、それが今や、9%に落ち込んだ。生産能力の世界レベルでの平準化に向けて、欧州は30年に世界の20%の半導体生産を担うべきであると訴えた(図2)。

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図2●半導体製造で欧州は20%を担うべき
図2●半導体製造で欧州は20%を担うべき
(出所:基調講演のビデオからキャプチャー)
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 欧州の生産能力強化に向けてIntelは、今後、欧州に少なくとも2つの最先端設備を備えた工場を新設する予定とした。そして、その工場の建設費用を含んで、同社は今後10年間に800億ユーロ(約10兆4000億円)を欧州で投資する計画を語った。

 車載半導体需要が順調に伸びることも、同氏は説明した。例えば、プレミアムカーにおける部品代全体に占める半導体の比率が大きくなる。同氏が見せたスライドでは19年には4%だったが、25年に12%、30年には20%に達するという(図3)。これに合わせ、車載半導体市場も成長する。車載半導体のTAM(Total Addressable Market)は21年には500億米ドル(約5兆5000億円)だが、30年には1150億米ドル(約12兆6000億円)と2倍以上になるとした。また、半導体市場全体に占める車載品の比率は11%に拡大する見込みも明らかにしている*2

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図3●プレミアムカーでは部品代の20%が半導体に
図3●プレミアムカーでは部品代の20%が半導体に
(出所:基調講演のビデオからキャプチャー)
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