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 IoT(インターネット・オブ・シングス)やAI(人工知能)の利用拡大で注目を増すデータ活用。一方でデータセンターの莫大な消費電力は大きな課題だ。その点で日立製作所と東京大学生産技術研究所(東大生研)が2021年9月2日に共同開発を発表したデータベースの電力消費を低減する技術はインパクトが大きい。同一消費電力でなんと200倍を超えるデータ分析を可能にしたという。

 「データ分析で省電力というと、従来はハードウエアの性能を上げて対処してきた。今回ソフトウエアで効率を上げてエネルギー消費を抑える仕組みを開発した」。東大生研の合田和生准教授は日立と共同開発した技術の新規性をこう説明する。

 開発したデータベースエンジンを使って鉱山の機器稼働管理IoTシステムを想定した実証実験を実施した。障害が発生した箇所を起点に、関連するデータを抽出する処理を実行する。その結果、同じハードウエアで従来型の一般的なデータベースエンジンを搭載したものに比べて消費電力あたりのデータ分析処理量が200倍以上に増えたという。半面、処理実行時間は15~25%増えている。

意図的に個々のドライブの電源をオフにできる時間を捻出する
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意図的に個々のドライブの電源をオフにできる時間を捻出する
(出所:東京大学生産技術研究所)

 省エネを実現するための1つ目の基本的な考え方は、データベースエンジン内のアクセスされていないストレージの電源をオフにするというものだ。処理速度を維持しつつ省エネ効果を高めるため、開発したデータベースエンジンでは問い合わせ条件が与えられて処理を実行する際に、意図的に個々のストレージを休ませる時間を捻出する仕組みになっているという。

 従来型であれば1つのストレージとして記録するところを、複数のストレージに分割した。具体的には8台のハードディスク(HDD)で1つのストレージとして、32ストレージを用意。日付単位で順番に記録するストレージを変更するようにした。これにより該当の日付と関連しないHDDの電源をオフにするといった処理がストレージ単位で実行できるようになった。