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 異業種からの転職受け入れ上昇率1位の業種は「IT/通信」。転職サービス「doda(デューダ)」を手掛けるパーソルキャリアが2021年9月17日に公開した「異業種転職・異職種転職」に関する分析結果だ。同社はコロナ禍前で転職求人倍率の平均が最も高かった2016年度とコロナ禍の2020年度にdodaを利用して転職した約4万人のデータを基に「異業種転職」の傾向を発表した。

異業種からの転職を多く受け入れている業種の上昇率ランキング
異業種からの転職を多く受け入れている業種の上昇率ランキング
(出所:パーソルキャリア)

 ある業界への転職者に占める異業界からの転職者の割合を示す異業種転職受け入れ率は、IT/通信業界が2020年度に57.5%と、2016年度より9.9ポイント高かった。上昇率は調査対象の全業種で最高だ。

 dodaの喜多恭子編集長は上昇の理由を3点指摘する。最大の理由は企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む機運の高まりだ。デジタル技術を活用したビジネス変革に取り組む企業が増えるに従い、パートナーとなるIT企業における人材の需要も増える。

 企業のシステム開発が自社の要件に従って一から個別開発する形態から、既存のサービスパッケージの中から必要な機能を選んで利用できるSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)を活用する形態に変化していることも、IT/通信業界の異業種受け入れ率上昇の一因になっている。システムを提供する側のIT企業は、新しいサービスやビジネスを企画する能力を持つ人材の採用・育成をより重視するようになった。

 喜多編集長は「DXのパートナーとなるためにはITやシステムの知識だけではなく、顧客業界への知見なども必要になる。IT業界が求める人材の要件として、異業種での経験が生きる領域が増えてきた」と企業が転職者に求めるスキルの変化を語る。基幹業務システムを構築するIT人材についても業種・業務知識を必要としていた点は同様だが、新規事業の創出をはじめとするDXを支援するため異業種出身者の経験をより重視するようになったとみられる。

 3つめは新型コロナ禍による需要と供給の変化だ。「IT業界の人材不足は長く継続しているが、コロナ禍の影響もあり2020年度頃から転職は(人材の供給が採用の需要を上回る)買い手市場に変化してきた。即戦力を採用しやすくなったことで、企業は転職者の受け入れを増やして育成コストの抑制に取り組んでいる」(喜多編集長)。IT業界はリモートワークの普及や非対面需要の高まりで案件が増加している。コロナ禍がIT業界の成長をけん引した一因になったとも言える。

 2020年度に「IT/通信」への転職が最も多かった異業種は「サービス」で、全体の25.6%を占める。中でも「旅行/宿泊/レジャー」からの転職が増えた。同社はコロナ禍による業界の先行き不安を要因として指摘する。喜多編集長は転職者の意識の変化について「従来はIT業界で働くためには専門知識が必要というイメージが強く、個人側もなんとなく抵抗感を持っていた。コロナ禍でオンラインのコミュニケーションやテックサービスに触れる機会が増え、興味を持った人が多いのではないか」と分析する。

2020年度「IT/通信」が異業界から転職を受け入れた業種内訳と割合
2020年度「IT/通信」が異業界から転職を受け入れた業種内訳と割合
(出所:パーソルキャリア)
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