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 東芝デバイス&ストレージは、電動パワーステアリングといった車載メカトロニクス機器の動作を検証するための新技術「Accu-ROM:Accurate-Reduced Order Modeling」を開発した ニュースリリース 。この技術を使うことで、従来技術と同じ精度の検証を10分の1の時間で実行できたことを確認した*。車載メカトロ機器開発の初期段階で今回の技術を使って検証すれば、機器の試作回数を減らすことが可能になり、開発コストが低減できると期待される。

* 電動パワー・ステアリング・システムにおいて6秒間の右折操作をした場合を想定し、3相インバーター回路のシミュレーション時間を比較した結果
電動化は、図中の緑色文字で示したようにクルマの各所で進む
電動化は、図中の緑色文字で示したようにクルマの各所で進む
電動化ではモーターをMOSFETで駆動する。図中のEPS(Electric Power Steering)が電動パワーステアリング。(出所:東芝デバイス&ストレージ)
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 メカトロ機器の設計検証では、機械部品(主にモーター)とエレクトロニクス部品(主にパワーMOSFET)の双方のモデルを組み合わせる、いわゆる、メカ-エレ協調/連成シミュレーションを実行する。ここで問題となるのが、メカ系とエレ系の解析精度の違いである。例えば、時間軸では、メカ系の応答時間はmsオーダー、一方エレ系のスイッチング動作はnsオーダーと6ケタも異なる。このため、エレ系精度の解析が必要になると、メカ系も同じ時間オーダー(細かさ)でシミュレーションしなければならず、検証時間の長大化を招いていた。

電動パワー・ステアリング・システムの機能ブロック図(左)とトルク制御電子回路の回路図(右)
電動パワー・ステアリング・システムの機能ブロック図(左)とトルク制御電子回路の回路図(右)
(出所:東芝デバイス&ストレージ)
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電子回路部分を詳細な回路モデルに置き換えることで、解析精度が上がる
電子回路部分を詳細な回路モデルに置き換えることで、解析精度が上がる
(出所:東芝デバイス&ストレージ)
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 検証時間の長大化にはもう1つ要因がある。パワーMOSFETのようなアナログ素子の検証では「SPICE:Simulation Program with Integrated Circuit Emphasis」と呼ばれる回路シミュレーターを使うのが一般的なことだ。SPICEは万能といえるシミュレーターで、さまざまな特性を解析できるが、それだけに処理時間が長い。東芝デバイス&ストレージによれば、メカトロ機器の設計検証では、数十秒から数分の振る舞いを見ることが求められているが、従来のメカ-エレ協調/連成シミュレーションでは、数日レベルの実行時間になってしまうという。

メカ-エレ協調/連成シミュレーションの処理時間が長くなってしまう理由
メカ-エレ協調/連成シミュレーションの処理時間が長くなってしまう理由
(出所:東芝デバイス&ストレージ)
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