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 精密金型メーカーのペッカー精工(埼玉県東松山市)はこの2年ほど、バイオプラスチック向けの射出成形用金型など、カーボンニュートラル(温暖化ガスの排出量実質ゼロ)への動きに対応した事業に注力している。2020年からバイオプラスチック関連の金型製作が増え始め、21年に入ってさらに急増した。現在、特に多く持ち込まれるのが「植物由来の素材を使用した自社製品や社内の備品を作りたい」といった案件。企業ブランドのイメージ向上などを目的としたものだ。

 ポリ乳酸(PLA)に生物由来のコンポジット(複合材料)を加えた素材の射出成形など、同社の取り組みを2回にわたって紹介する。

近未来への技術開発としてバイオプラに取り組む

 ペッカー精工の創業は1968年。かつてはソニーのヘッドホンステレオ「ウォークマン」の部品の金型も手掛けていた。現在、顧客の分野は電機製品から医療、自動車などまで幅広いが、特に電機製品が多いという。

 得意とするのは透過色プラスチックの成形や、超高温金型ヒートサイクル成形技術「E-MOLD」、インサートフィルム成形、2色成形などで、どれも高い技術力を要する。それらの技術は「初代社長の時代から、顧客の需要に懸命に応え続ける中で磨かれてきた」と2代目社長である小泉秀樹氏は言う。さらに同社は、金型設計・製造だけではなく、製品開発やデザイン、試作、量産まで自社やグループ企業で一通り手掛けられる体制を整えている。

ペッカー精工代表取締役の小泉秀樹氏
ペッカー精工代表取締役の小泉秀樹氏
(出所:小林由美)
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 これまでのペッカー精工は、売り上げが大きく伸びたタイミングなどを捉え、顧客の新たな需要に応えられるように市場の状況を調べ上げ、新しい技術開発や事業に投資してきた。「そうやって動き続けなければ、我々金型屋はすぐつぶれてしまう」と、小泉氏は常日ごろからの危機感を語る。

 国内の金型メーカーは、自動車部品を中心に手掛ける企業が圧倒的に多い。だが、近年は自動車のスマート化や電動化が進み、エンジン関連などの部品製作の件数が激減している。小泉氏は、「部品が減れば、その分だけ金型メーカーが減る」勢いであると、その戦いの厳しさを表現する。その上、新型コロナウイルス禍での自動車メーカーからの受注件数減少のあおりを受け、金型メーカーは苦戦を強いられている。

 ペッカー精工は、取引先に占める自動車メーカーの比率が少なく、電機メーカーとの取引が多いため、幸いにしてその影響については少なくて済んでいるという。しかし、同社もかつては07年以降のスマートフォンブームにより、主力の1つであった携帯電話関連部品の受注減少を経験している。同業界をターゲットにしていたメーカーらが次々と立ち行かなくなる中で、スマートフォン端末向けのパネル類の成形に取り組み、ピンチを乗り切ったという。

 そして現在は、バイオプラスチックにも取り組む。社会的な環境問題への意識の高まりを受け、顧客からの引き合いや問い合わせが確実に増えている。

ペッカー精工が手掛けるバイオプラスチック成形品
ペッカー精工が手掛けるバイオプラスチック成形品
「インターモールド 2021」(2021年4月14~17日、東京ビッグサイト青海展示棟)会場で。(出所:小林由美)
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