米国のベンチャー企業Lytenは2021年9月22日、同社が開発した電気自動車(EV)向けリチウム硫黄(Li-S)電池「LytCell EV」の充放電サイクル寿命が1400回以上であることを確認したと発表した。2025~26年に発売されるEVへの搭載を目指すという。試作セルの重量エネルギー密度などは明らかにしていないが、「理論的には既存のLiイオン2次電池(LIB)の約3倍に相当する900Wh/kgを実現できる」(Lyten)という。2021年9月23~26日に米デトロイト近郊のポンティアック市で開催されたモーターショー「Motor Bella」では、18650 円筒形セルや大型のパウチ型セルなどを出展した。
Li-S電池は正極活物質に硫黄、負極活物質に金属Liを用いた電池。理論上は重量エネルギー密度を900~1000Wh/kgと大幅に高められるため、世界各国の研究機関やベンチャーがこぞって開発を進めている。ただし、これまでほとんどのケースで充放電サイクル寿命が50~200回(重量エネルギー密度は300~500Wh/kg)と非常に短く、EVを含む幅広い用途での実用化にはメドがたっていなかった。