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 「ビジネス部門とデジタル部門が伴走してシステム開発に取り組む組織づくりを目指す。そのために12人のビジネス部門出身者を、両部門の懸け橋となる人材にすべく育成している。2021年10月末には新たに24人を懸け橋役にするための研修を始める」。クレディセゾンの小野和俊取締役兼専務執行役員CTO兼CIOは同社のデジタルトランスフォーメーション(DX)における人材育成についてこう説明する。

 クレディセゾンは「CSDX」と名付けてDXを進めている。小野取締役はCSDXの目的を、「本当に必要なシステムについて真っすぐに考えられる環境をつくることだ」と語る。システム開発を外部のシステムインテグレーター(SIer)に委託すると、SIerもビジネスとして受託する以上は利益が出る提案を優先する。自らが望むシステムを社内で開発する力があれば、お金の話に縛られずに開発できる。

 ビジネス部門の要件を正確に把握してデジタル部門やIT部門につなぎ、開発の効率を上げる――。CSDXを成功に導くためのカギとなるのが人材育成であり、その土壌が整ってきた。2021年9月時点でこうした役割を担う「ビジネスデジタル人材」が12人育っている。

人材は3つの「Layer」で育成

 システム開発の内製化を目指す上で、クレディセゾンはビジネス部門とデジタル部門が伴走する組織づくりに取り組んでいる。そのための土壌整備として、ビジネス部門とデジタル部門の橋渡しを担うビジネスデジタル人材の育成に力を入れている。これまで同社において要件定義はビジネス部門が担当し、設定した要件に従ってIT部門やデジタル部門がシステム開発を担当していた。これを「要件定義の段階からビジネス部門とIT部門、デジタル部門が相談しながら進める」(小野取締役)組織へと変える。

 CSDXを主導するのは、小野取締役が率いるテクノロジーセンターだ。テクノロジーセンターの重要な取り組みの1つが人材育成である。同センターは、所属する人材を3つの層(Layer)に分けている。1つ目の「Layer1」はITのスペシャリストである「コアデジタル人材」、2つ目の「Layer2」はビジネス領域の知識を備える前述のビジネスデジタル人材、そして3つ目の「Layer3」が特定の領域におけるITの知識を持つエンジニアである「デジタルIT人材」だ。

 Layer1のコアデジタル人材は他社でアプリケーション開発やサーバー構築、データ分析などを手掛けていた人材である。Layer3のデジタルIT人材はもともとクレディセゾンで特定の業務に使うアプリやシステムを開発していたエンジニアが所属している。Layer1にはITのスペシャリストが集うが、「DXを進めるためにはスペシャリストだけがいればいいというわけではない」(小野取締役)。

 2021年9月時点でLayer2のビジネスデジタル人材は、2020年8月の公募によってビジネス部門から異動した12人が所属している。Layer2の人材について小野取締役は「2020年8月の公募によって、定員12人に対して30人ほどの応募があった。2021年8月に第2弾の公募をかけたところ、24人の定員に対して80人以上が手を挙げた。24人は2021年10月末からテクノロジーセンターに配属される予定だ」と話す。

クレディセゾンにおける人材育成の概要。社内のデジタル人材を3つの「Layer」に分け、Layerごとに研修プログラムを用意している
クレディセゾンにおける人材育成の概要。社内のデジタル人材を3つの「Layer」に分け、Layerごとに研修プログラムを用意している
(出所:クレディセゾン)
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