25周年を迎える「東京ゲームショウ2021 オンライン」(2021年9月30日~10月3日)では、初めてVR(Virtual Reality)空間を用いたバーチャル会場「東京ゲームショウ VR 2021(TGSVR2021)」をオープンする。参加者がパソコンやVRヘッドマウントディスプレー(HMD)などからアクセスすると、ゲームキャラクターなどの巨大な3DCGモデルが立ち並ぶ会場に3次元(3D)アバターの姿になって入り込み、自由に移動しながら見て回ることができる。
TGSVR2021の会場は、専用アプリから参加する「GAME FLOAT」と、Webブラウザーから簡易的に参加できる「GAME FLOAT SKY」の2つに分かれている。GAME FLOAT会場の専用アプリには、ambr(東京・中野)が開発したVR空間プラットフォーム「xambr(クロスアンバー)」を、GAME FLOAT SKY会場にはNTTが開発したVR空間プラットフォーム「DOOR」を用いる。
今回、記者がGAME FLOAT会場を事前に体験取材する機会を得たので、会場の様子を写真とともにリポートする。
たくさんのゲームキャラクターがお出迎え
GAME FLOAT会場は大きく4つのエリアに分かれている。会場の中央にあるのが、エントランス通路やメインホール、複数人で映像鑑賞可能なシアタールームなどがある「コアエリア」である。コアエリアの周囲には、出展社ブースが立ち並ぶ「デジタルエリア」「ワイルドエリア」「アーバンエリア」がドーナツ状に配置されている。
会場に入るとまずはコアエリアからスタートになる。歴代の東京ゲームショウのポスターやキャッチコピーが並ぶエントランス通路を抜けると、大きなメインホールに到着する。このメインホールには、「ガンダム」や「モンスターハンター」、「ファイナルファンタジー」といった有名コンテンツのキャラクターたちが巨大な3Dモデルとなって展示されている。
メインホールからは、周囲にある移動ゲートに入ることで別のエリアに移動できる。例えば、真っすぐ奥のゲートに入るとデジタルエリアに移動する。デジタルエリアに入ると、例えば正面にはバンダイナムコエンターテインメントのブースがあり、最新ゲームのPVに加えてゲームキャラクターの3Dモデルなどが展示されている。展示会のテンプレートブースにPV映像などを当てはめただけではなく、各企業がそれぞれ独自に設計したブースを出展しているのがTGSVR2021の大きな特徴である。
ブースによっては、ブースのさらに奥に進むと移動ゲートがあり、参加者が個別に特別映像を体験できる専用エリア(フロアマップのD-S、W-S、U-S部分)に入れるところもある。この専用エリアはデジタルエリアとワイルドエリア、アーバンエリアにそれぞれ1つずつ設けられていて、出展社ごとに用意している360度映像などを体験できる。
デジタルエリアとワイルドエリア、アーバンエリアの3エリアはシームレスにつながっており、デジタルエリアから時計回りに進むとワイルドエリアに入り、そのまま時計回りに進むとアーバンエリアに入り、またデジタルエリアに戻ってくる。
会場をドーナツ状にした狙いは、参加者が会場内を回遊しやすくする体験設計に基づく。加えて、直線上の遠方にある3Dオブジェクトを描画しなくてすむようになるため、アプリの処理負荷軽減にもつながるとしてドーナツ状の空間設計を選択したという。
手軽さや操作性などユーザー体験を重視して設計
体験してまず感じたのは手軽さである。例えばGAME FLOAT会場は、ブラウザーから参加できるGAME FLOAT SKY会場と違って専用アプリをダウンロードする必要はあるものの、スタート画面でユーザー表示名を入力するだけで参加できる。事前のユーザー登録が必要ないため、すぐに会場へ入ることが可能だ。2度目以降にアプリを起動した際は自動ログインで情報が引き継がれる。VRHMDが不要なデスクトップアプリでも参加できるのも手軽さの1つである。
このほか、アバターの操作性がよいため、出展社ブースを見て回るのが楽だと感じた。アバターの操作方法は「スライド移動」と「ワープ移動」の2種類があり、参加者が自ら設定画面で切り替えられる。移動方法によってVR酔いしやすいなど個人差があるため、自分に合った方法を選べるようにしている。
ブースに展示されている画像やPV映像の閲覧も便利になっている。見たいものを目の前に引き寄せて大画面で表示させられる「Grab & Play」機能により、ブース内で映像を見やすい位置にわざわざアバターを移動させる必要がなくなった。