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 スズキが2021年9月10日に発売した新型軽自動車「ワゴンRスマイル」は、使い勝手を良くするため、後部ドアにスライドドアを採用した。また、車両前方の視認性を高めるため、フロントウインドーの両脇に「フロントクオーター」という大きな窓を設けた。

 こうした装備を搭載したことで、前面衝突や側面衝突などの衝突安全への新たな対応が必要になった。スズキはベース車両である「ワゴンR」のボディー骨格を改良することで、これらの課題に対応。ボディー設計の意地をかけたクルマといえるだろう(図1)。

ワゴンRスマイル
図1 新型軽自動車「ワゴンRスマイル」
後部ドアにスライドドアを採用した。また、車両前方の視認性を高めるため、フロントウインドーの両脇に「フロントクオーター」という大きな窓を設けた。(撮影:日経Automotive)
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 ワゴンRのボディー骨格の場合、前面衝突時の衝撃荷重をフロントピラーやサイドシルなどを通じて後部に逃がす。衝突時に乗員室を変形させないために、フロントピラーやサイドシルには、引っ張り強さが980MPa級の高張力鋼板(冷間プレス材、以下同じ)を使っていた。

 これに対してワゴンRスマイル(以下、新型車)では前述したように、車両前方の視認性を高めるために、フロントウインドーの両脇に大きな窓を設けるとともに、フロントピラーの幅を細くした。ただ、同ピラーを細くすると、ワゴンRの骨格構造のままでは前面衝突に対応するのが難しくなる。

 そこで新型車では、「ワゴンRに対してボディー骨格の一部の構造を変えた」と、スズキ四輪商品第一部アシスタントCE課長代理の新美大輔氏は言う。具体的には、フロントピラーの下部に骨格部材を追加して、ロードパス(衝撃荷重の伝達経路)を増やした。これにより、衝突時の荷重を車両後部に効率的に逃がせるようにした。追加した骨格部材は、1.2GPa級の高張力鋼板である(図2)。

新型車のボディー骨格
図2 新型車のボディー骨格
フロントピラーの下部に骨格部材を追加して、ロードパスを増やした。スズキの資料を基に日経Automotiveが作成。
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