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 伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は2021年8月、障がい者雇用を推進する特例子会社のCTCひなり(ひなり)と共同で、人工知能(AI)の開発やデータ分析などに用いるデータの事前準備をするサービスを始めた。「データプレパレーション(DP)」と呼ぶデータ準備の作業を専門で請け負うことで、顧客のAIやデータの利活用を支援するとともに、IT分野での障がい者の職域開拓を目指す。

 ひなりは2010年に設立された特例子会社で、障がいのある79人の社員(2021年10月時点)が在籍する。連携する農家から農作業を請け負うサービスやCTCグループ内での清掃サービス、マッサージサービスなどを提供している。

CTCひなりの社員によるデータプレパレーション作業の様子
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CTCひなりの社員によるデータプレパレーション作業の様子
(写真提供:伊藤忠テクノソリューションズ)

 新サービスでは、CTCが顧客から受注したAIやデータ分析などの案件において、ひなりがデータの表記揺れや誤記などを整えるDP作業を請け負う。AIやデータ分析でよく利用されるPythonなどを使用して大量のデータを整形する。例えば「お客様と顧客」「取締役と役員」といった用語の名寄せや、全角と半角を含めた表記ルールの適用、重複した用語の削除や異常値の除去などだ。

 今回の取り組みは、CTC金融営業本部金融ビジネス企画部ビジネス企画第2課の福永圭佑課長が社内のビジネス企画コンペで提案したことをきっかけに始まった。福永課長は金融分野向けのデータマネジメントや分析システムの開発などを担当しているが、日常業務の中でDP作業に大きな手間を感じていたという。「プログラムを書くほどの定式化ができないので大変だった」(福永課長)。

 そこで福永課長が思い出したのが、過去にCTCグループ内のイベントで見かけたひなりの活動だった。「障がいのある人たちが我々を上回るほどの集中力で業務に取り組んでいた」(福永課長)。IT分野での定型的な業務をしてもらえれば障がい者の職域開拓につながり、エンジニアの工程削減にもなると考えた。「ひなりの渡邊香織社長にメールで伝えると、『まさにそれをやりたかった』という回答が返ってきた」(福永課長)。2019年後半に実証実験という形でプロジェクトが始動した。