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 「通信の領域では(競合の通信会社と)同じように見えるかもしれないが、当社はかなり早い時期からデジタルトランスフォーメーション(DX)の領域で、顧客の『本業』に貢献することを目指して実績を積み上げてきた。これからも追い付かれないようにする」。

 KDDIの法人事業を統括する森敬一取締役執行役員専務は自信ありげにこう語った。同社は2021年9月28日に法人事業説明会を開き、新たな成長の柱と位置付ける「NEXTコア事業」の最新動向を説明した。

「そもそも通信事業はリカーリングビジネスでノウハウがある」と語るKDDIの森敬一取締役執行役員専務
「そもそも通信事業はリカーリングビジネスでノウハウがある」と語るKDDIの森敬一取締役執行役員専務
(撮影:日経クロステック)
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NEXTコア事業を3000億円規模に育てる

 NEXTコア事業は次の3つで構成する。顧客企業の社内業務や働き方改革を支援する「コーポレートDX」、IoT(インターネット・オブ・シングズ)やクラウドを活用してビジネスのデジタル化を促す「ビジネスDX」、それらを支えるデータセンターなどのインフラ「事業基盤サービス」――である。

 同事業の足元の業績は好調だ。2021年4~6月期の売上高は前年同期に比べて18%増えたという。KDDIは2022年3月期通期の法人事業全体の売上高を約1兆円と見積もっており、このうちNEXTコア事業の比率を3割超に引き上げる考えだ。金額ベースでは3000億円を超える計算だ。目標達成に向け、同社は法人向けの新サービスを多数投入すると明らかにした。

 その1つが「ゼロトラスト」という新たな考え方に基づくセキュリティーサービス「KDDIマネージドセキュリティサービス」で、10月1日に開始した。顧客企業が利用しているセキュリティー対策サービスなどから取得したログを、KDDIが開発したログ分析基盤と出資先であるITセキュリティー企業ラックの自動分析エンジンでリアルタイムに分析。そこに両社が2018年に共同設立したKDDIデジタルセキュリティのサイバー分析官も加わり、顧客企業のシステムにおけるインシデント発生を早期に検知・対応するというものだ。

 また、昨今はDXの一環として、既存のビジネスを売り切り型ではなく、継続して収益を上げる「リカーリング」型に転換する企業が増えている。こうしたニーズに応えるため、顧客管理やデータ分析などの機能を含む「KDDIリカーリングビジネスプラットフォーム」構想を掲げる。この構想に基づいて、膨大な顧客IDを管理するための基盤やノウハウを提供するサービス「KDDI ID マネージャー」も9月28日に開始した。「そもそも通信事業はリカーリングビジネスであり当社には豊富なノウハウがある」(森取締役)。

 こうした法人サービスに加えて、KDDIは5G(第5世代移動通信システム)の領域で富士通と提携し、新たな市場開拓策を打ち出した。具体的には2022年度中をめどに、富士通が構築支援する地域限定の5Gネットワーク「ローカル5G」とKDDIの商用5Gネットワークを組み合わせて企業や自治体などに提供する予定。企業や自治体は屋内外にシームレスにまたがる通信環境を構築して、顧客や地域住民に5Gを活用したサービスを提供できるようになるという。