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 「せいぜい20点だ」「30~50点といったところ。いや、とても50点は付けられない」──。三菱電機の品質不正について外部調査委員会が2021年10月1日に公表した調査報告書(以下、報告書)。その内容の評価(100点満点)について、同社の内情を知る関係者と製造業に詳しい経営コンサルタントはそろって厳しい点を付ける。「落第点」と言わざるを得ない。

三菱電機の品質不正問題に対する調査報告書
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三菱電機の品質不正問題に対する調査報告書
西村あさひ法律事務所の木目田裕氏を委員長とする外部調査委員会によって作成された。技術的な検証に甘さが感じられ、性能不正を見抜けるとは思えない。(写真:日経クロステック)

性能不正の疑いを見逃した報告書

 低評価の最大の理由は、不正に対する追及の甘さにある。すなわち、三菱電機自身が望む「膿(うみ)を出し切る」ことに役立っているとは言えないのだ。今、同社による品質不正で最も慎重な調査を要するのは、「性能不正の有無」だ。性能面で明らかに技術的に説明がつかない製品の例が見つかっているからである。

 三菱電機ではこれまで多くの検査不正が発覚しているが、性能不正については1件を除いて同社は認めていない*1。「賠償問題に発展する可能性が出てくるため、隠蔽したいのだろう」(関係者)という声も上がっている。今回の報告書は、名古屋製作所可児工場(岐阜県可児市)と長崎製作所(長崎県時津町)に絞ったものだが、検査不正が新たに8つ見つかった。検査不正を打ち明けるケースが増えているのに、性能不正に関する情報が一切出てこないことを、外部調査委員会は不審に思わないのだろうか。

*1 2020年10月に発覚した、車載オーディオ機器用ラジオ受信機に関する設計不正。欧州無線機器指令(欧州RE指令)に対して不適合であるにもかかわらず、適合したと偽って顧客に製品を販売していた。欧州地域でAMラジオを受信した際に音声にノイズが混入する可能性がある。

外部調査委員会の委員長の木目田氏
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外部調査委員会の委員長の木目田氏
2021年10月1日に開かれた会見では、報告書の内容に対して「にわかには信じがたい」という報道陣からの質問が相次いだ。(写真:日経クロステック)

 率直に言えば、技術の専門家がいない外部調査委員会には、品質不正に関する調査能力に限界があると評価せざるを得ない。三菱電機の社内の人間から聞き取り調査を行うだけでは、検査不正の全てはおろか、巧妙に隠された性能不正まで見つけ出すことは不可能と言ってよいだろう。

 その証拠に今回、外部調査委員会は性能不正の疑いを見逃している節がある。