市場の活用で抑制量を削減
CAISOは、再エネに対する出力抑制量を低減・回避するために、エネルギーインバランス市場(Energy Imbalance Market=EIM)を活用している。CAISOはカリフォルニア州を管轄エリアとする送電事業と電力需要調整事業を担うほか、前日市場と最終的な需給の差(インバランス)を調整するインバランス市場も運営している。米国西部諸州に拡大される再エネの電力系統への連系、系統の信頼性と発電コスト削減を促進するため、CAISOは、同州で運営するインバランス市場の運営エリアを拡張し、2014年に西部エネルギーインバランス市場 (Western Energy Imbalance Market= WEIM) の運営を開始した。
WEIMには 現在、カリフォルニア、オレゴン、ネバダ、ワシントン、アリゾナ、ユタ、コロラド、ワイオミングの8州に管轄エリアを持つ電力事業者が参加している。WEIMは、CAISOの外部の参加者がエネルギーを売買して、需要と供給のバランスを改善できるリアルタイム市場である。
2020年CAISOは、WEIM内での取引により、従来なら出力を抑制された発電量のうち、16%分の抑制を回避できたという。ちなみに、2021年第2四半期(4~6月)末で、WEIM活用によって出力抑制を回避できた再エネ発電量は、累積150万9114MWhと報告されている(図5)。
その他にも、エネルギー貯蔵設備を導入することで、従来なら抑制される電力を充電できるので、CAISOは2021年に2.5GWのエネルギー貯蔵設備を追加する予定である。その他のエネルギー貯蔵オプションとし、水素発電と水素ベースのエネルギー貯蔵も、太陽光の出力抑制を減らすのに役立つとされている。太陽光の電気で水を電気分解して水素を取り出せば、「CO2フリー水素」として蓄えておくことができる。
さらに、必要に応じて消費者に需要の増減を促すデマンドレスポンス(DR=需要応答)の採用拡大や、需要家向け電力価格と電力卸市場のリアルタイム価格をより早く一致させるなど、電力価格をシグナルにした需給バランス改善を奨励するなど、消費者側の対応も重要なテーマとなっている。