DMG森精機は、ワークの搬送や着脱などをこなす搬送ロボット「WH-AGV 5」を発売した。自社で開発した自律走行型の無人搬送車(AGV)に安川電機製の協働ロボットを搭載したもの。2021年9月30日に同社伊賀事業所で開催したプレス向けイベントにおいて、デモンストレーションや実際の運用の様子などを披露した。
「走行時にロボットや搬送物が揺れないように最適なAGVを求めて自社開発した」(同社)。4つの従動輪にはオムニホイールを採用。車軸を天びん構造にし、従動輪を常に接地させることで走行を安定させているという。最大で35mmの高さの障害物を乗り越えられる走破性を備える。そのため、ケーブルダクトなどが走る工場内でも走行できる。
走行制御には、レーザースキャナーなどの情報を基に自身の位置を推定して目的地まで自律走行する「SLAM(Simultaneous Localization and Mapping;自己位置推定と環境地図作製の同時実行)」方式を採用。周囲の人や障害物を検知して回避しながら走行できるため、一般的なAGVとは違って走行ガイド用の磁気テープやマーカーが要らない。
ただし、SLAMによって自律走行するAGVは一般に位置精度が劣り、「数十mm程度ずれる」(同社)。そこでWH-AGV 5は、ロボットアーム先端に搭載したビジョンセンサーでワークなどを載せた台車や工作機械に貼付したマーカー(タグ)を読み取り、その情報を基に位置や姿勢を補正。±1mm以下の位置決め精度を実現している。「ワークの着脱の自動化にはこれくらいの精度が必要」(同社)という。