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 生理用ナプキンを女性用トイレで無償配布するサービスが登場した。商業施設や公共施設の女性用トイレの個室に小型のディスペンサーを設置してナプキンを常備する。利用者は1枚ずつ取り出せる。無償配布を可能にしたのは、デジタル技術とビジネスモデルの組み合わせの妙。経済的理由などから生理用品を買えない「生理の貧困」問題の解決にもつながるサービスだ。

 「生理用ナプキンは女性にとってトイレットペーパーと同様の必需品。ならば女性用トイレには無償で常備すべきだ」。こう語るのはベンチャー企業オイテルの飯崎俊彦専務取締役COO(最高執行責任者)。同社はナプキンを無償配布するサービス「OiTr(オイテル)」の開発と運用を手掛ける。

 2021年8月末、埼玉県富士見市の大型ショッピングセンター「三井ショッピングパーク ららぽーと富士見」で、商業施設として初めて提供開始。東京・渋谷の「渋谷モディ」や浜松市の「イオンモール浜松志都呂」などで相次ぎサービスを始めた。

 OiTrは無線通信機能を備えたナプキンのディスペンサー機器と利用状況管理のクラウドサービス、利用者向けのスマートフォンアプリから成る。利用者はアプリをインストールしたスマホをディスペンサーに近づけるだけだ。Bluetooth経由でアプリを認識したディスペンサーの開口部からナプキンを1枚、無料で取り出せる。

タクシー広告があるならトイレ広告も

 もちろん慈善事業ではない。無償提供を可能にしたのはインターネット経由で広告を配信するデジタルサイネージ機能だ。ディスペンサーには液晶ディスプレーが備え付けてあり、利用者が便座に座ると広告映像が自動的に流れる。ネット広告事業を手掛けるマイクロアド子会社のマイクロアドデジタルサイネージが、デジタルサイネージ経由の広告配信を担う。オイテルはネット広告の広告料収入から、ナプキンの調達やサービス開発・運営などの費用を賄う。

「OiTr(オイテル)」の利用イメージ
「OiTr(オイテル)」の利用イメージ
(出所:オイテル)
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 「タクシー内で乗客向けに広告を流せるのなら、個室のトイレ内で広告を流すのもありではないか」。飯崎COOは発想をこう語る。SDGs(持続可能な開発目標)の達成は今や企業の一大関心事。ナプキンを無償配布できれば、施設運営企業にとってはSDGsの1つ「ジェンダー平等」に貢献できるチャンスだ。とはいえ、有意義な取り組みでもコスト負担は減らしたい。オイテルはネット広告を活用して、「施設運営企業にも利用者個人にも利益をもたらし、健全なエコシステムを築ける」(同)と考えた。