みずほ銀行は2021年9月30日に「8度目」のシステム障害を起こした。外国為替取引に遅れが生じ、主に法人顧客の送金に影響が出た。金融庁の業務改善命令からわずか8日後の障害で、同庁の衝撃は大きい。
「みずほ銀行にシステム全体をデザインできる人材はいるのか」。止まらないシステム障害に対して、金融庁の担当者はこう疑問を投げかける。
金融庁は2021年9月22日、これ以上のシステム障害を防ぐ「止血」に向けて、みずほ銀行と親会社のみずほフィナンシャルグループ(FG)に対して業務改善命令を出した。みずほ銀行が年内をめどに計画しているシステム更改や更新、保守のスケジュールを提出させ、金融庁が必要性や緊急性、銀行業務に与えるリスクを踏まえて、再検証や見直しを求めるという内容だ。
一方、検査業務を担う総合政策局が進めているみずほ銀行やみずほFGに対するシステム面やガバナンス面の全般的な検証は今後も続ける。システム障害関連でみずほグループが業務改善命令を受けるのは、みずほ銀行が発足した2002年以降で3回目だが、検査途中の行政処分は異例だ。
統合決済管理システムに不具合
にもかかわらず、みずほ銀行の負の連鎖は止まらなかった。金融庁が業務改善命令を出した8日後の9月30日、再びシステム障害が発生し、外為取引に遅れが生じた。みずほ銀行で顧客に影響を与えるシステム障害が表面化したのは、2021年に入って8度目となる。
みずほ銀行によると、国際銀行間通信協会(SWIFT)と同行の「外為決済システム」を仲介する「統合決済管理システム」で処理速度が低下する不具合が生じたという。同システムはみずほ銀行の勘定系システム「MINORI」の外側に位置する。
9月30日は上半期の末日で、通常より取引量が増える。これが処理速度低下に関連したかも含めて、10月5日時点で原因は明らかになっていない。