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 みずほフィナンシャルグループ(FG)は2021年10月8日、傘下のみずほ銀行で2021年8月以降に起こったシステム障害の詳細と、再発防止策の見直しに向けた課題認識を明らかにした。8月19~20日の「5度目」のシステム障害を巡っては、データセンター(DC)の切り替えという「奥の手」を使わなくても復旧させられたという見解を示した。

 みずほ銀行に関しては、2021年に入ってから既に8件のシステム障害が表面化している。みずほFGが10月8日夕に開いた記者会見では、8月以降に発生したシステム障害の詳細を説明し、特に「5度目」の障害について時間を割いた。8月20日午前9時から午前9時45分まで、全463店舗で店頭取引ができなくなったという障害だ。午前11時58分まで融資や外国為替の一部取引も不能になった。

関連記事: みずほ銀行窓口業務ストップの真相、DC切り替えをためらい障害が長期化

「4000年に1回」の2重故障

 システム障害のきっかけは、営業店端末などと勘定系システム「MINORI」とをつなぐ「業務チャネル統合基盤」において、データベース(DB)サーバーのディスク装置が故障したことにある。ディスクはミラー構成だったため、2台目のディスクが単独で立ち上がったものの、約1時間後に2台目も故障し、読み取り不能になった。

 みずほFGによると、ディスク装置が2重に故障することは極めてまれで、「ITベンダーからは4000年に1回と言われた」(石井哲執行役デジタルイノベーション担当兼IT・システムグループ長兼事務グループ長)。富士通が故障したディスクを分解するなどして解析した結果、特定の型番において、読み取り不良などによる故障率が足元で高まっていたことが分かったという。

みずほフィナンシャルグループの石井哲執行役デジタルイノベーション担当兼IT・システムグループ長兼事務グループ長
みずほフィナンシャルグループの石井哲執行役デジタルイノベーション担当兼IT・システムグループ長兼事務グループ長
(出所:オンライン記者会見をキャプチャー)
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 本番系のDBサーバーに異常があった場合、通常であれば待機系のDBサーバーに自動的に切り替わる。だが「(待機系に)処理を引き継ぐために必要なデータが読み込めない」(みずほFGの米井公治執行役IT・システムグループ共同グループ長)状況に陥り、自動切り替えに失敗した。

みずほフィナンシャルグループの米井公治執行役IT・システムグループ共同グループ長
みずほフィナンシャルグループの米井公治執行役IT・システムグループ共同グループ長
(出所:オンライン記者会見をキャプチャー)
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 みずほ銀行はその後、待機系DBサーバーへの手動切り替えを試みたが失敗した。「2号機(編集部注:待機系DBサーバー)の再起動に当たり、今回のような極めてまれなディスク2重障害において必要となる追加コマンドを復旧手順に含めていなかった」(みずほFG)ことが理由だ。待機系単独での立ち上げも試したが、復旧手順をその場でつくれず、断念した。