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 ホンダの先進運転支援システム(ADAS)「Honda SENSING」が進化する。同社が2021年10月13日に発表した新たなシステム「Honda SENSING 360」(以下、新システム)は、車両の周囲を監視するセンサーとして単眼カメラとミリ波レーダーを採用し、交差点における出合い頭衝突を回避する機能など、現行の最新システム(第3世代システム)に対して新たな5機能を追加した。

 まず、22年に中国で発売する新型車に新システムを搭載する。その後、他の地域で発売する新型車にも搭載し、提供する機能を追加する。30年には、中国を含む先進国(日本・米国・欧州)で発売するすべての新型車に搭載する計画である。

 ホンダは同日に、中国初の同社ブランドとなる電気自動車(EV)の2車種を、22年春に発売すると発表した。SUV(多目的スポーツ車)タイプの「e:NS1」と「e:NP1」である。今回の新システムはこれらの2車種ではなく、「22年内に中国で発売するグローバルモデルの新型車に搭載する」(同社)という。

 現在、ホンダの最新ADASは2つある。1つ目は広角化した単眼カメラだけを使うHonda SENSINGの第3世代システムで、小型車の「フィット」や小型SUV(多目的スポーツ車)「ヴェゼル」など4車種に搭載されている(図1)。

ヴェゼル
図1 小型SUV「ヴェゼル」
広角化した単眼カメラだけを使う第3世代システムを搭載する。(撮影:日経Automotive)
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 もう1つは、単眼カメラとミリ波レーダー、3次元レーザーレーダー(LiDAR)を使う「Honda SENSING Elite(以下、Elite)」である。旗艦セダン「レジェンド」に搭載されており、高速道路や自動車専用道路の単一車線における「レベル3」の自動運転や、高速道路や自動車専用道路の複数車線における「レベル2+」の高度運転支援を実現する。

レジェンドのシステムとセンサーを共用

 今回の新システムは、後者のEliteをベースにして開発した量産車向けのものである。ただEliteはレベル3の自動運転などを実現するため、多くのセンサーを使う。具体的には、2つの単眼カメラと5つのLiDAR、5つのミリ波レーダーを搭載する。

 これだけ多くのセンサーを搭載すると、システムコストが高くなる。車両価格が1000万円を超えるレジェンドには搭載できても、軽自動車や小型車を含む量産車に採用するのは難しい。

 そこで今回の新システムでは、Eliteで使うセンサーの種類と数を減らし、システムコストの増加を抑えた。具体的にはLiDARを使わず、1つの単眼カメラと5つのミリ波レーダーだけにした(図2)。

新システムのセンサー構成
図2 新システムのセンサー構成
1つの単眼カメラと5つのミリ波レーダーを使う。(出所:ホンダ)
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 さらに、本田技術研究所先進技術研究所のAD/ADAS研究開発室でシニアチーフエンジニアを務める四竃(しかま)真人氏は、「新システムではコストの増加をできるだけ抑えるために、Eliteのセンサーを流用した」と言う。センサーのうち広角化した単眼カメラは、第3世代システムでも使う。

 新システムの搭載車種を増やすことで、規模のメリットによるコスト低減も期待できる。ただ、第3世代システムと比べると、ミリ波レーダーを5つ追加しているため、コストをどこまで下げられるかが今後の課題になる。