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 「リアルな顧客接点をどうデジタルに置き換えていくかを考えると、EC(電子商取引)サイトもデジタルの動線上で簡単に返品できるようになる必要がある。ECサイトをリアル店舗に近づける手助けをしたい」

 ヤマト運輸の齊藤泰裕EC事業本部ゼネラルマネージャーは、2021年8月に提供を始めたEC事業者向け「デジタル返品・発送サービス」の狙いをこう語る。英Doddle Parcel Servicesとタッグを組み、利用者がECサイト上から返品を申し込めるようにしたものだ。既に大手数十社を含む数百社から問い合わせがあり、反響は上々だ。

「返品のUI、UXが整備されていない」

 利用者は自身の都合の良いタイミングと方法を選んで返品を申し込める。具体的には、ECサイトにひも付く返品受付サイトにアクセスし、注文番号などの必要情報を入力。そのうえで最寄りの宅急便センターやオープン型宅配ロッカー、一部のコンビニエンスストアへの「持ち込み」または「自宅集荷」といった発送方法を選択する。

 返品受付が完了するとメールで2次元コードが届き、持ち込み先の店舗などでコードを提示するだけで伝票レスでの発送が可能だ。自宅集荷の場合は同社のドライバーが集荷の際、申し込み情報に基づいた印字済みの伝票を貼り付ける。

返品用サイトのスマホ画面イメージ
返品用サイトのスマホ画面イメージ
(出所:ヤマト運輸)
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 同社は2020年11月にDoddleと協業し、ECサイトで購入した商品を提携店舗やコンビニエンスストアで受け取れるサービスを提供済み。商品の受け取り・発送に対応した拠点は3000カ所を超える。今回のサービスでも同拠点を活用することで「利用者は通勤などの生活動線の中でスムーズに返品ができる。実際、(先に始めた)受け取りサービスで活用個数が増えている実感がある」と齊藤ゼネラルマネージャーは自信をのぞかせる。

 「海外では返品が当たり前に行われているのに対し、日本には返品文化があまり根付いていない。日本では返品のUI(ユーザーインターフェース)、UX(ユーザー体験)が整備されていないことが大きな理由の1つだ」(齊藤ゼネラルマネージャー)と考え、ヤマト運輸がEC事業者に返品の仕組みそのものを提供する形態とした。

 既に世界各国の宅配事業者と提携して返品サービスを展開するDoddleのサービスを「日本風」にカスタマイズ。ヤマト運輸のドライバーが顧客とのコミュニケーションを通じて収集してきた顧客ニーズを反映した。

 例えば「返品慣れしていない日本の利用者のために申し込み後のステップを画面上で案内する」「返品理由を知りたいEC事業者のために返品申込時に理由を入力する画面を設ける」などだ。Doddleの担当者にドライバーの動線まで確認してもらい、1年弱かけてサービスを構築した。