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 健康・医療情報を記録しながら2型糖尿病の治療に取り組むことで、平均の血糖値を反映するHbA1c値が改善した――。糖尿病の治療を手掛けるともながクリニック 糖尿病・生活習慣病センターが、健康・医療情報の記録が治療を支援することを示唆した論文を日本糖尿病学会の会誌に発表した。生活習慣を改善する患者のモチベーションが上昇したと考えられるという。

PHR(パーソナルヘルスレコード)を参考にしながら診療する様子
PHR(パーソナルヘルスレコード)を参考にしながら診療する様子
(出所:ともながクリニック 糖尿病・生活習慣病センター)
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 個人が自身の健康や医療、介護に関する情報を電子的に記録し管理する仕組みはPHR(パーソナルヘルスレコード)と呼ばれる。今回の臨床研究では、Welby(ウェルビー)が提供するPHRのプラットフォームの「Welbyマイカルテ」(以下、マイカルテ)を利用した。

 マイカルテでは血圧や血糖値、HbA1c値、体重などの情報を測定機器から近距離無線通信を介して記録する。他にも食事を撮影した画像や活動量計の値などから食事と運動の状況を把握したり、検査結果などのデータをアプリに保存したりできる。記録したデータは医師と共有できる仕組みで、診療に生かせる。

 今回、マイカルテの利用頻度によって74人の2型糖尿病患者を2つのグループに分け、それぞれのHbA1c値と体重の低下を比較した。マイカルテを月に15回以上使用する「利用頻度が高い群」のHbA1cの平均値は、開始時の7.1%から1カ月後に6.8%に有意に低下した。6カ月後までほぼ同じレベルのHbA1c値が続いたという。

 一方で「利用頻度が低い群」はHbA1c値の有意な低下がみられなかった。HbA1c値は赤血球中のヘモグロビンが糖と結合している割合を示す検査値で、過去1カ月から2カ月の血糖値の平均を反映するもの。測定日直前の行動で大きく変動するものではなく、日々の生活習慣を示す値といえる。「薬を変えずにHbA1c値を0.3も下げるのはなかなか難しい」と、ともながクリニックの朝長修院長は話す。