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 インターネットイニシアティブ(IIJ)は2021年10月7日、千葉県白井市にある同社の白井データセンターキャンパスで実証実験を進めている超小型のデータセンター(DC)「マイクロデータセンター(MDC)」を報道陣向けに公開した。MDCとは、家庭用冷蔵庫ほどの大きさのきょう体にDCとして運用するための機能を詰め込んだ設備である。

 実証実験は2021年9月下旬からスタートしている。MDCを活用できる範囲を、5G(第5世代移動通信システム)基地局の近くに設置する「マルチアクセス・エッジ・コンピューティング(MEC)」と呼ばれるエッジサーバーや、工場のファクトリーオートメーション、産業IoT(インターネット・オブ・シングズ)、スマートシティーのITやIoT、オフィスや店舗内などに設置するサーバールームなどと見込み、実証実験を進めている。2021年度中に提供を開始する予定だ。

 今回の実証では、2010年に設立されたオーストラリアのMDC専業メーカーであるZella DC(ゼラディーシー)のMDCを採用した。採用の決め手について、IIJの室崎貴司基盤エンジニアリング本部基盤サービス部サービス開発課長は「オーストラリアの鉱山や造船所といった過酷な環境での長期間の使用実績や、世界6大陸での導入実績、台湾製や日本製の部品を使ってオーストラリアの工場でつくられた信頼性など」と説明する。

インターネットイニシアティブ(IIJ)の室崎貴司基盤エンジニアリング本部基盤サービス部サービス開発課長と、実証用に設置したオーストラリアZella DC製のマイクロデータセンター(12Uタイプ)
インターネットイニシアティブ(IIJ)の室崎貴司基盤エンジニアリング本部基盤サービス部サービス開発課長と、実証用に設置したオーストラリアZella DC製のマイクロデータセンター(12Uタイプ)
(撮影:日経クロステック)
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遠隔監視や自律運転などを検証

 Zella DCのMDCのラインアップは3つで、12U、25U、38Uである。実証では12Uタイプのモデルを屋外に設置した。設備としての性能や遠隔からの監視・運用のほか、きょう体内の温度上昇に応じて不要なサーバープロセスを停止させるなどの自律運転シナリオを検証している。通信はMDCの隣に設置したノンスタンドアロン(NSA)方式のローカル5G設備を使用する。

 これらの検証に2021年11月まで取り組んだ後、MDCを使ったエッジコンピューティングのユースケースも検証する計画だ。具体的には、MDC内のMECとクラウドサービスをローカル5G経由で連携させて、ドローンやネットワークカメラ、スマートメーターといったIoT機器を制御するPoC(概念実証)などを予定している。検証などを通じて、顧客企業がエッジコンピューティング環境を短期間で容易に構築・運用できるMDCの導入サービスを開発する。

マイクロデータセンター(右)とローカル5G設備
マイクロデータセンター(右)とローカル5G設備
(撮影:日経クロステック)
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