日産自動車の小型ハイブリッド車(HEV)「ノート」の質感を高めた派生車「ノートオーラ」が堅調に受注台数を伸ばしている(図1)。企画当初からの狙い通り、上級車から乗り換えるユーザーを中心に取り込んだ(表)。上級車が搭載する部品を流用したことで、同社が訴求する高い上質さと開発コストの低減を両立した。
同社第1製品開発部チーフビークルエンジニアの渡邊明規雄氏が「小型車だからといって、ユーザーに妥協をさせない」と語るように、輸入車からの乗り換えも想定し、小型車セグメントの枠に収まらない上質さを求めて開発したという。
例えば、前席のドアには遮音用のフィルムが入ったラミネートガラスを採用し、車内の静粛性を高めた(図2)。渡邊氏は「ドイツMercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)や同BMW、同Audi(アウディ)など、高級車クラスでないと採用しない部品」と説明する。
また、ノートオーラは日産の上級車から部品を流用することで機能性を高めた。メーターディスプレーやナビゲーション、ステアリングホイールは同社の中型SUV(多目的スポーツ車)「ローグ」が採用するものを流用した。また、電子制御シフトや電動パーキングブレーキは、同社の新型電気自動車(EV)「アリア」が採用するものと同様である。
こうした部品の共通化は上質さの実現だけでなく、コストの低減や開発期間の短縮にも寄与したという。渡邊氏は「ノートオーラは小型車であり、当然コスト面も重要。最小限の工夫で効率良くノートとの性能の差を生み出すのに苦労した」と振り返る。