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 クラウド上の仮想的なオフィスに、同じ部署やチームの従業員がアバターを介して出社することで、互いの動きが見えたり、手軽にコミュニケーションが取れたりする「仮想オフィスサービス」が進化している。

 従業員が自宅やオフィス、外出先のどこで働いていても互いの動きがつかめるよう、「oVice(オヴィス)」を提供しているoViceや、「Remotty(リモティ)」を手掛けるソニックガーデンといったベンダーが、新サービスの開発を進めたり、新機能を追加したりしている。

 仮想オフィスサービスは2020年春以降、新型コロナウイルス感染症対策の1つとしてテレワークを大規模に導入し始めた企業を中心に導入が進んでいる。在宅勤務を中心としたテレワークに従業員が取り組むようになると、「互いの動きがつかみづらい」「コミュニケーションが取りづらい」といった課題に直面しやすくなる。

 解決策として注目が集まっているのが仮想オフィスサービスだ。従業員がアバターとして仮想的なオフィスに「出社」すると、同じように出社している他の従業員がいればアバター同士で交流できる。音声通話やチャット、Web会議などの機能を備えているので、コミュニケーションがすぐに取れるメリットもある。

 仮想オフィスベンダーが、自宅やオフィス、外出先のどこで働いていても、従業員の動きを互いにつかめる機能強化に動くのは、テレワークを進める企業における従業員の働き方が多様になっているからだ。

 コロナ対策の1つとして注目されているテレワークの普及で、在宅勤務に取り組む社員が増えている。一方で、「込み入った話をチームメンバーに伝える必要がある」といった理由で出社勤務をして対面で打ち合わせをしたり、客先を訪問する必要があってモバイルワークをしたりする社員も少なくない。

 働く場所の多様化に対応するため、仮想オフィスベンダーは自宅やオフィス、外出先を問わず、仮想オフィスサービスを通して互いの様子をつかんだり、手軽にコミュニケーションを取ったりできるよう新サービスや新機能の投入に動いているのだ。

出社する社員とテレワークをする社員をつなぐ

 自宅とオフィスの従業員同士が簡単にコミュニケーションできる新サービスの開発を、リコーと連携して進めているのがoViceだ。具体的には、映像・音声をリアルタイムで配信するリコーのクラウドサービス「RICOH Live Streaming Service」をoViceと連携できる新サービスを開発する。実証実験を進めていき、2022年初めの提供を目指す。

 RICOH Live Streaming Serviceにはリコーの360度カメラである「RICOH THETA(リコー シータ)」などを接続できる。RICOH THETAをオフィスに設置して新サービスを利用することで、カメラを設置したオフィスにいる社員とoViceを利用するテレワーク中の社員が、映像と音声でコミュニケーションを取れるようにする。

 oViceのジョン・セーヒョンCEO(最高経営責任者)は「働き方を(テレワークを中心とした)オンラインから(出社勤務が主体の)オフラインへ戻す企業は増えているが、テレワークの流れは不可逆だ。そこで企業の間で、働き方を完全にオフラインに戻すのではなく、オンラインも加えてバランスを取ったハイブリッド型を目指す動きが出てきている」と指摘する。

 しかし、「ハイブリッド型の働き方を目指すには、コミュニケーションの面で課題が出てくる。解決策の1つとして、RICOH THETAなどとoViceを組み合わせた新サービスで、ハイブリッドなワークスペースを提供していけるようにする」(ジョンCEO)。

 2021年10月11日、oViceは戦略発表会で、新サービスをリコーとともに紹介した。発表会に登壇したリコーの松野陽一郎デジタル戦略部ワークプレイス基盤開発室室長は「RICOH THETAで撮影した映像のデータは丸ごとクラウドへ送る。1種類の映像データを複数のユーザーで共有する場合、ユーザーごとに好きな角度で映像を見ることができる。RICOH THETAは従来のカメラのようなアングルの調整などをする必要がないので、オフィスなどへの設置も簡単だ」と説明した。

oViceの戦略発表会の様子。発表会ではリコーの松野陽一郎デジタル戦略部ワークプレイス基盤開発室室長も登壇し、RICOH Live Streaming ServiceなどとoViceを組み合わせた新サービスの画面例を示した
oViceの戦略発表会の様子。発表会ではリコーの松野陽一郎デジタル戦略部ワークプレイス基盤開発室室長も登壇し、RICOH Live Streaming ServiceなどとoViceを組み合わせた新サービスの画面例を示した
(出所:oVice、リコー)
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 リコーの松野室長は「オンラインの働き方だけでは、複数のメンバーでの議論が活発に進まないこともある。そこでオフィスなどリアルな働き方に関する情報も取り入れて、オンラインの働き方に関する情報と融合させて、いかにコミュニケーションを活性化させていくかが課題になる。こうした課題を解決するため、より良い働き方をサポートしていけるようサービスを拡充していきたい」と見通しを語る。